14時開演 びわ湖ホール中ホール
毎年冬の時期に開催されるびわ湖ホール声楽アンサンブルの公演。
今回は「三文オペラ」でした。
「オペラ」と名が付くものの、セリフの方が圧倒的に多く、ストレート・プレイ+オペラ・アリア、といった構成。実際ミュージカルとしても上演されており——ずいぶん前(20年前くらい?)に梅田芸術劇場でミュージカル「ベガーズ・オペラ」を観た記憶があるのですが、その「ベガーズ・オペラ」を下敷きにして書かれた作品であるようです。
見終わった後に思ったのは、ある意味かなり難易度が高い舞台作品である、ということ。オペラ歌手である前に役者でなければならず、歌手と役者の両方を兼ね揃えていないと務まらない。だからこそ、声楽アンサンブルでやる意味があるのだろうと感じました。
また、主役のメッキー・メッサ―(ベックメッサ―?と思ってしまうワグネリアン笑)は、いわば「ドン・ジョヴァンニ」のような、悪党であるものの(女性にとって)魅力的な人物であり、それが際立たないと話の軸が定まらないように思ったのですが、その意味で主役が少々物足りなかったようにも思いました。別キャストでもう一度鑑賞すると、また違った印象になったかもしれません。
とはいっても、メッキー・メッサーを含め、特に低音系歌手の方は、セリフも歌も素晴らしい声で——喋る声も「えぇ声」だけど歌い出すと更によい声で——惚れ惚れとすること多々。その点、喋る声と歌う声の音域差が大きいソプラノは大変なのではないかと思ったりもしました。
このプロダクションは、故栗山昌良氏が今から50年近く前に演出したものの再演出だったのですが、歌手は常に正面を向いて喋る(歌う)、という少々古いスタイル。それに全体的に何となく間延びした運び。予算など制約はあるのだろうけれど、せっかくこの若いメンバーでやるのであれば、台本も刷新して、もっとキレのよい演劇にすればよかったのになぁと思ってしまいました。
そうそう、若い、といえば、声楽アンサンブルでやる場合、役によっては「若作り」ではなく「老け作り」しなければならないのが少々ツライところです。しかし、ピーチャム夫人の森季子さんは素晴らしかった。演技力。セリフも歌も実に堂に入っていて、幕切れにキャストひとりひとりが歌っていく「メッキー・メッサ―の歌(マック・ザ・ナイフ)」は大声量のシャウトで大迫力。カーテンコールで最も喝采を浴びていました。大きな目と表情の豊かさで森公美子さん(先述のベガーズ・オペラで同役)を彷彿とさせるものでもありました。
ところで、オーケストラは「オーケストラ」ではなく?ギター、バンジョー、バンドネオンなどが入っている一方、弦楽器はチェロのみ、ホルンやトロンボーンはなし、という編成。なので、ピットから上がってくる音は普段聴き慣れたものとはかなり異なった「軽音楽」の響きでした。後ろから見てもニコニコと指揮されているのがわかる園田マエストロは、燕尾服ではなく、シャツにベスト、というバンドマンのような出で立ち——と思ったら、オケの方々も自由に私服で演奏されていたようです。
かみ
◇座席
1階J列上手側
斜め前が何故か4席並んで空いており視界良好。