2025年10月9日(金) クリスティアン・アルミンク指揮/シンフォニア・ヴァルソヴィア来日公演 ピアノ小林愛実

19時開演 いずみホール

昨日に続くシンフォニア・ヴァルソヴィアの公演。
この日は、ベートーヴェン「フィデリオ序曲」とモーツァルトの交響曲第40番、後半にショパンの協奏曲第1番というプログラム。ピアニストは前回ショパンコンクール第4位の小林愛実さん。

オーケストラは昨日よりも更に明晰さを増した印象。
特にモーツァルトでは、編成が小さい分、各楽器の旋律がそれぞれくっきりと聞こえ、曲の背骨以外の細かい骨格までもが把握できるような見事な演奏でした。

「響きすぎ」の印象があるいずみホールで、ここまで解像度の高いオーケストラの演奏を聴いたのは初めての経験。変なたとえかもしれませんが、ミューザ川崎で聴いているかのようでした。もちろんマエストロの手腕によるところも大きいと思いますが、本当に上手いオーケストラだと感嘆。

後半の愛実さんによるショパンは、「これぞ」という演奏。前回ショパンコンクールの入賞者のうち、「ピアノの詩人」というショパンの代名詞に最も近いのは彼女ではなかったかと思っているのですが、今回の演奏も、まさに「語る」ピアノ。

指使いやペダリングにより、音色や表現に様々なヴァリエーションをつけた演奏は、彼女の「現在」であって、これからもまだまだ変わっていくのだろうな、と思わせるものでもありました。

そのピアノにぴったりとつけるマエストロとオーケストラの巧みさ。ショパンは演奏し慣れているのでしょうが、「切る」タイミングの完璧な一致など胸がすく思い。

2夜続けて、思いがけず素晴らしい演奏に出会えた幸せな週末でした。改めてヨーロッパのオーケストラのレヴェルの高さを実感した一方で、超メジャー以外のオーケストラ招致の難しさを知ったひとつの経験でもありました。

◇ソリスト・アンコール
ショパン:エチュードOp.10-5「黒鍵」

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