15時開演 いずみホール
6月の1番&1番に続き、今回は交響曲第2番とピアノ協奏曲第2番のプログラム。

フォルテピアノは第一人者の川口成彦さん。川口さん久し振り。それに協奏曲でお聴きするのは初めてでした。
プログラムは、2番カップリングに加え、冒頭に「コリオラン序曲」。
弦10型(ヴァイオリン10挺)でしたが、コントラバスは4台(チェロは数えられず)で低音を厚くしてありました。
この「コリオラン」の後半の2番も、その低音がよく効いて、ベートーヴェンらしい迫力を堪能できた一方、通常よりも少ない編成ゆえの繊細な美しさがあり、古典派の音楽は本来これくらいの編成およびホールの規模で聴くのが最適なのかもしれない、と感じました。
さて、フォルテピアノによる協奏曲第2番。今回使用されたピアノは、1790年製の「デュルケン」というピアノを復元したもの。ベートーヴェン20歳、ちょうどこの作品が一応の完成をみた時期の楽器です。
6月の第1番で使われた「シュタイン」復刻版同様、大きさも響きもチェンバロかと思ってしまうような楽器。鍵盤は63鍵で、モダンピアノより2オクターブ程度少なく、ベートーヴェンが後年に作ったカデンツァはこの鍵盤数では足りないとのことで、この日はそのカデンツァをもとに川口さんが編曲したものが演奏されました。
ペダルがなく、音色変化は内部の左の方に手を入れて行っていましたが、その音色のまろやかさ、絹のヴェールを纏ったような柔らかな響きには魅了されました。一体どのような機構になっているのか興味があったので、休憩時間に近くに行ってみたのですが(同様の観客もそこそこ周りにいたのですが)、極めてビジネスライクにさっさと撤収されてしまって残念――余談ですが、大阪倶楽部でのテレマン協会コンサート終了後に調律師さんが臨時でチェンバロの説明をしてくださったのはありがたかったな、と。
ところで、その演奏ですが――聴きなれているモダンピアノでの協奏曲とはまるで別物、という印象でした。冒頭から演奏されるピアノは、それこそ「通奏低音」のようで、音量の小ささもあってあまり前に出てこない。オケはヴァイオリンを6挺まで減らしていましたが、更に1プルト減らした方がよかったのではないかと思うほど、バランス的にはか細い印象でした。
ベートーヴェンの時代には、どのような音量バランスを是として演奏していたのでしょうか?――やはりオーケストラの方もモダン楽器ではなく、ピリオド楽器の方が音量的にも適してのではないかと思ってしまいました。ただし、前述のように、オーケストラの音色はとても美しく、清々しい気持ちにさせてくれるものでありました。

◇ソリスト・アンコール
ベートーヴェン:6つのエコセーズ
この演奏も素晴らしく、鳴りやまぬ拍手に、最後はマエストロも一緒に舞台に現れ、「ジャン、ジャン」の連弾で笑いを取って終了。大阪ならではのサービス?
◇座席
いつものP列下手側通路際。先週の大フィル モーツァルトと同じ席。

