2024年10月4日(金)トーマス・ザンデルリンク指揮/大阪交響楽団第275回定期演奏会

  • 19時開演 ザ・シンフォニーホール

久し振りの大響定期。
音楽監督マエストロ ザンデルリンクの指揮でブルックナー7番を聴きました。

前半に置かれたのは、ハイドンの交響曲第94番「驚愕」。いわゆる「びっくり交響曲」ですが、音楽番組などでも、2楽章の「びっくり」の部分だけが取り出されるのが殆どで、記憶を辿ってもこの作品をきちんとした形で聴いたのはこれが初。そのことだけでも収穫でした。

当たり前ですが、改めて聴くと、なんとしっかりとした構成のシンフォニーなのだろう、と思います。そして、2楽章は変奏曲だったのですね。各楽器へ受け渡されていく変奏の巧みさを楽しみながら聴きました。

しかし有名過ぎるのもあるけれど、現代ではこれくらいの音量差で驚いて目を覚ます客はいないわけで、私が注目していた「寝ているオジサン」は寝たままでした。チャイコフスキーの悲愴だったら起きるかも?

マエストロ ザンデルリンクの演奏に触れるのは初めてでしたが、虚飾のない、謹厳実直という感じの指揮でした。今回はオルガン席だったので、マエストロを正面から見れる楽しみがあったのですが、その表情は殆ど変わらず、奏者だけにわかるようなサイン(ソロがよかったら小さく親指を立てるなど)を出すようなこともなく、表から見ても裏から見ても(どちらが表?)印象は同じだったように思います。

さて、後半のブルックナー7番。
マエストロのじっくり丁寧な指揮に導かれた美しい演奏でした。特に弦楽器、ヴァイオリンの高音部の響きは陶然とする美しさ。それだけに、あちこちで発生した管楽器のキズが惜しい‥。
ちなみに、「ノーヴァク版」が採用され、2楽章山場ではシンバルが盛大に鳴らされました。

正確に測ったわけではありませんが、演奏開始が19時55分頃で終演が21時5分過ぎだったので、およそ70分。プログラムに記載の演奏時間より5分以上長く、感じていたように、やはり遅めのテンポだったようです。しかし、マエストロの風貌も相俟って、これくらいの落ち着いた演奏の方がしっくりくると感じました。

この7番、1楽章から3楽章までは、お楽しみが詰まっていて——冒頭のワーグナーを彷彿とさせる和音や、2楽章の「テ・デウム」の旋律、3楽章スケルツォはもちろんのこと、嬉しくてずっとニコニコで聴いていました。主題が3つも出てくる4楽章は未だ消化不良ぎみなのですが——ともあれ、実にブルックナーらしい豪壮なコーダで結ばれた終演。

マエストロの手が降ろされ、静寂を祈ったものの——正面から野太い「ブラボー」が発せられてガックリ。もう2,3秒待てませんかね?

◇座席
オルガン席上手側
直接音と天井反響板からの音がほどよく混じる美しい音響。金管と打楽器がほぼ見えない、音量バランスがよくない(ホルンが大きく聞こえる)ということはありつつも、今後この席もあり、です。
完売の公演で、こちらから見渡すほぼ満席のホールは壮観でした。

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