2024年10月24日(木)ダニエル・バレンボイム指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ マルタ・アルゲリッチ

20時開演 ベルリン・フィルハーモニー

ヘルシンキを経て早朝ベルリン着。
前日から予約のホテルにチェックインし、朝食を摂った後、荷ほどき、シャワー、仮眠。演奏会まで自由行動だったのですが、近くのスーパーに買い出しに行ったついでに付近を散策するのみとし、演奏会に備えることにしました。

夕方ホテルのロビーに集合し、路線バスでベルリン・フィルハーモニーへ。
映像でしか見たことのないフィルハーモニーを目の前にするのはなかなかに感慨深いものがありました。

ちなみに宿泊したのは、旧東側に位置するヒルトン・ベルリン。正面向かいはドイツ大聖堂(改修工事中で見学できず)で、周囲は歴史を感じる風格ある街並みだったのですが、それらの佇まいから比べると、ベルリン中心部からやや離れて建つこの建物の革新的なデザインは独特の存在感。完成当時には「カラヤンのサーカス小屋」と揶揄されたりもしたそうですが、これは言い得て妙。五角形の形態のみならず、軽さを感じさせる外観は遠目に仮設っぽくも見えるのです。が、ここはクラシック音楽の世界の頂点のひとつ、なのですね。

さて、この日の演奏会は、指揮がバレンボイム氏、ピアノがアルゲリッチ氏という超豪華な組み合わせ。ともにアルゼンチン出身で幼馴染みでもあるそうです。

曲目は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第一番とブラームスの交響曲第4番。ブラームス4番は昨年の来日公演(指揮はペトレンコ)を聴きに行けなかったので、私にとってはリベンジでもありました。

お二人揃っての登場に会場は沸きました——が、バレンボイム氏は足元が覚束ない様子で、杖こそ持たないものの手摺を掴みながらの歩行。少々心配になりました。

いざ演奏が始まると、コンサートマスターのノア・ベンディックス=バルグリー氏が全力サポート。時には金管楽器の方まで視線を飛ばし、ヴァイオリンの弓がほぼ指揮棒状態。

と、実は、座席が前から2列目というかぶりつきでの鑑賞で、バレンボイム氏の頭はピアノの屋根からの日の出状態、オケ後方は全滅という視界でした。自分では絶対に取らない席ですが、ツアーなので仕方ありません。この位置での鑑賞を楽しむことにしました。

アルゲリッチ氏はもう流石としか言いようがない素晴らしさ。バレンボイム氏より2歳年上の今年83歳ですが、バリバリの現役。指は軽快に回り、粒立ちは素晴らしく、体全体に沁み込んだ音楽をここで披歴している、といった感。若きベートーヴェンのみずみずしい音楽がそのまま伝わってくる名演でした。ピアノの底(裏)ばかりが見える視界でしたが、細かく踏むペダリングがよく見え、リズミックな箇所で声を出しながらの演奏が聴けたのは収穫でした。

後半のブラームス4番。
弦ばかりが聴こえてきて響きのバランスがー、と言いたいところですが、その弦の迫力がすごい。弦楽器だけの音圧をここまで感じる演奏はもちろん初めてでした。そして前半にも増してほぼ弾き振りのバルグリー氏。

しかしやっぱり、見えないのはツラい。俯瞰鑑賞を是とする身としては、見えないと聴いた気になれないのです。それに、デジタル・コンサートホールでお馴染みのクラリネット首席フックス氏を始め、管楽器奏者がまったく見えないのは残念でした。はるばるベルリンまでやって来て、すぐそこに居るのに‥。ちょっとこれはリベンジ案件になってしまったかもしれません。

終演後は当然ながら、スタンディングオベーション。
私たちのツアーは1~3列目にずらりと陣取っていたのですが、最前列中央におられたツアー最高齢の女性が「ブラボー」を連呼されていて、バレンボイム氏が唇に指を当てて「しー」のゼスチャーのシーンも(笑)。バレンボイムとコミュニケーション、すごい。この方にはツアーが進むにつれて尊敬の念を抱くようになったのですが、それは後々書きます。

◇ソリスト・アンコール
バッハ:イギリス組曲第2番(というのは同行の方に教えていただきました。さすが!)
「ドイツ3大B」で揃えたのですね。

◇座席
1階2列目上手側

◇その他
チケットはA4判のプリント。コードを係員が手持ちのスキャナーでピッと読み込み。他公演のチラシ配布などはなし。客席の各扉前で売られていたプログラム冊子は安価だったので(金額忘れました)購入しました。ドイツ語版しかなく、プログラムノートなどの中身は読めませんが(笑)

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