2026年1月23日(金)下野竜也指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団第594回定期演奏会

19時開演 フェスティバルホール

今年最初の大フィル定期は、演奏会形式のオペラ「青ひげ公の城」を含む公演。

バルトーク「青ひげ公の城」。
完結感がなく不可解で、何か心にひっかかりを残したまま終わるオペラですが、音楽のほの暗い透明感とストーリー展開には不思議と魅了されるものがあります。

前半に演奏された日本人作曲家による2作品の大編成に加え、トランペット4+トロンボーン4のバンダを舞台上手奥に配置した超大編成のオーケストラ。オーケストラを聴きたい派としては、この演奏会形式は嬉しい。

城の7つの扉が次々と開けられていくという、人物の動きが少ないストーリー展開は、現代の映像技術を取り入れれば、演奏会形式プラス・アルファで十分表現できるのではないかと思いますが、この公演では舞台壁を場面に即した色でライトアップする、という手法が採られていました。

そのため舞台上の照明も落とされ、オーケストラは譜面台に照明をつけての演奏。こちら観客としては、巨大なピットを覗き込んでいるような感覚になり(なんだか嬉しい)、その暗い舞台が音楽の色調とも合致し、副次的効果を生んでいるようにも思えました。

バルトーク独特の「夜の音楽」。透明感と闇を感じる音色、そして分厚い音の重なりを堪能。またしても演奏会形式で大満足。

青ひげ公はバリトン宮本益光さん、その新婦ユディットにソプラノ石橋栄実さん、および前口上を述べる吟遊詩人に田中宗利さん。

演技巧者でもある宮本さんと石橋さんの演唱は、場面ごとの声の表情も多彩で、舞台装置がなくともその世界にいざなってくれるものでした。最初のうちは、オケに埋もれがちに聞こえたのですが、場面が進むにしたがって(こちらの耳も慣れたのか)、十分に聞こえるようになり――第5の扉、広大な領地を示すオケ最強音のあたりでは、よくぞここまで!と思う声量と表現力に感嘆。

石橋さんの、声の粒子がホール全体に広がるような歌唱――これは声量に拘わらずオケに埋もれない声の響かせ方のテクニックではないでしょうか。誰もが真似できるものではない唯一無二をも感じます。加えて、若い花嫁の可憐さを感じるソプラノらしい美しさ。

宮本さんは、もちろん歌唱は素晴らしいのですが、私が思う「青ひげ公」の王様感はあまりなくて――この役は体の大きいバス・バリトンの方が合っているのでは?とも思ったのですが――実際に青ひげ公のモデルとなった、ジル・ド・レイの肖像画を見ると、さほど大男ではなさそうでした‥。

 

順番が後先になりましたが、前半は日本人作曲家2名の作品。
大阪出身で、大フィルにもゆかりのある大栗裕の「管弦楽のための『神話』」、および小山清茂「管弦楽のための鄙歌 第2番」。

大栗裕氏は「東洋のバルトーク」とも呼ばれていたそうで、後半のプログラムにちなんだ下野マエストロらしい選曲のセンスを感じました。「神話」とは、アマテラスオオミカミが天岩戸に隠れてしまう話のことで、この一部始終を音楽にしたもの。全体的に短調風味で、私がこの神話に持つ喜劇的なイメージとは異なったのですが、パーカッションが効果的に使われ、わかりやすい音楽でした。

2曲目の小山清茂「管弦楽のための鄙歌 第2番」。
この作品も和太鼓などが使われ、日本人が日本を題材にしてオーケストラ作品を書くと概ねこんな音楽になるのだなぁ、という印象。後世に残っていくことの難しさよ。定期で採り上げることの意義。

ともあれ、どちらの作品も大編成の大フィルのエネルギーをフルに感じる素晴らしい演奏でした。

◇座席
2階下手側最後列。
視線の先が空席で、最安席ながら眺望良好。が、隣の男性が始終大船漕ぎで大変目障り。

 

 

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