18時30分開演 ルナホール
芦屋出身の日下姉妹によるリサイタル。
我が家から最も近いホールながら足を運ぶ機会が殆どないルナホールに、この日は自転車で行ってきました(笑)
ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と読響のコンサート・マスターをつとめる日下紗矢子さんとお姉様のピアニスト日下知奈さん。4月の芦屋国際音楽祭がとても満足度の高いものだったので、また聴いてみたいと思い、出掛けました。
前半にシューマンの「3つのロマンス」とベートーヴェンのソナタ「春」、休憩後に武満徹「妖精の距離」とグリーグのソナタ3番。親しみやすいソナタの間に置かれた武満作品も魅力的で、このプログラムも行きたいと思った動機のひとつです。
ベートーヴェンの「春」は、有名なヴァイオリン・ソナタですが、私は題名通り春先にこの曲を聴くのが好きで、明るく暖かくなってきた日差し、でもまだひんやりとしている空気、といった季節感とこの曲の雰囲気が私の中でぴったりくるので、年中行事のように聴いている作品です。
実はこのリサイタル、今年の3月5日に予定されていたものが延期となったもので、本来はまさにその季節に聴けるはずでした。それは少々残念でしたが、なにしろ演奏が素晴らしかったので満足でした。
休憩後の武満徹「妖精の距離」は、独特の透明感、別の世界に連れて行かれるような浮遊感のある音楽でとても魅力的。終わらないで欲しい、と感じた演奏でした。続くグリーグのソナタも同様に、いつまでも聴いていたいと思いながら味わいました。
グリーグは、特に好きだと意識するほど多くを知らないのですが、考えてみると過去には声楽レッスンの発表会で「ソルヴェイグの歌」を歌ったり、今もピアノで「トロルドハウゲンの婚礼の日」を練習していたりして、私はこの作曲家が好きなんですね(笑)。メロディアスかつ親しみやすい。グリーグ夫妻は北欧人ながら小柄であった、というのも親近感のポイントのひとつだったりします。このソナタも、どこか可愛らしい雰囲気を備えていて、今回このリサイタルの予習の段階で初めて聴いたのですが、これはとっても好きな音楽だと「発見」しました。
もちろん、この日の演奏も艶やかかつ重音も迫力のヴァイオリンと、透明感の中に芯のある美音のピアノ、姉妹だけに息もぴったりで素晴らしいものでした。
さて、このルナホール。
芦屋市民でありながら、このホールを訪れたのは記憶をたどると6年以上も前。声楽レッスンの先生繋がりで、芦屋の音楽教室の先生(幼少期の上原彩子さんを教えていたという有名な先生)の発表会で、バッハの「クリスマス・オラトリオ」を抜粋演奏するので合唱に入って欲しいと頼まれ、ステージに上がったのでした。
クラシック専用ホールではなく、有名演奏家があまり来ないというのもあって、それ以降は訪れたことがなく、こうして観客として聴くのも初めてのことでした。音響は、ややデッドな感じはするものの、演奏技術が優れていることもあり、遜色ないものでした。
◇アンコール
「ロンドンデリーの歌」:「赤とんぼ」が聞こえてくる編曲(編曲者は不明)。郷愁を誘う素晴らしい演奏。拍手は鳴りやまず、もう1曲アンコール。
クライスラー「愛の喜び」:アンコール定番曲で華やかに締めくくり。
◇座席
2階上手寄り中央、最前列。
とても素晴らしい演奏会だったのに、客の入りは半分程度で勿体ない。