18時開演 大阪倶楽部
今回のテレマンコンサートは、首席客演コンサートマスターのウッラ・ブンディーズ氏を迎え、氏の編成によるプログラムでの公演。
タイトルにあるように、ハプスブルク帝国時代に宮廷楽長を務めた、シュメルツァー(1623-1680)、ムファット(1653-1704)、ヴェルナー(1693-1766)、の3名の作曲家の作品を各2作品ずつ採り上げた構成となっていました。既知の作曲家はシュメルツァーのみで、他の2名は名前を聞くのも初めて。聴く機会の少ない作品を聴くことができた貴重な体験でした。
印象に残ったのは、シュメルツァーの6声のソナタ。主に1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンの各トップが重奏し、もう1名ずつのヴァイオリンが時おり合いの手を入れる、といった構成で初めて見るアンサンブルの形態。声部が多い分、華やかで、聴き応えのあるものでした。
ムファットは、この時代では珍しく、フランスのリュリに師事し、その後イタリアにも渡ったとのことで、私の乏しいボキャブラリーで聴くと、ヴィヴァルディを彷彿とさせる音楽でした。それにしても、まだ知らぬ作曲家、まだ知らぬ音楽は膨大にあるものです。一生のうち、聴くことができるのは、その何分の一なのだろう?というようなことも考えてしまいました。
また、エステルハージ家の宮廷楽長であったヴェルナー、このときの副楽長はハイドン。ハイドンは39歳上のヴェルナーの死去を受けて楽長になるのですが、「一緒に仕事をしていた5年間、2人の折り合いは非常に悪かった」とのエピソードは、情景が浮かんできて興味深い——保守対革新?今も昔も変わらぬ人間模様。ハイドンの才能ゆえでしょうか。とは言え、ヴェルナーも現在まで残っているわけで、聴きやすく美しい音楽でした。
◇アンコール
ムファット:アリア
プログラムにはありませんでしたが、演奏会冒頭にブンディーズ氏とチェンバロでシュメルツァー「カッコウ」の演奏がありました。