2023年8月26日(土)沼尻竜典×京都市交響楽団 マーラー交響曲第7番「夜の歌」

14時開演 びわ湖ホール大ホール

1ヶ月の休止を経て「コン活」を再開しましたが、週に3公演と詰まってしまいました。
この日は久し振りにびわ湖ホールで、沼尻マエストロと京響のマーラー・シリーズ。

第7番「夜の歌」。マーラーの中でも演奏されることが少ない作品です。

私は、と言えば、前日もコンサートだったこともあり、演奏時間が長い(約80分)こともあり、十分な予習ができないまま聴くことになってしまった演奏会でした。

前回の6番「悲劇的」と同様、マエストロのプレトークがありました。
「マーラーは当日決断するお客様が多いようで(笑)」、この日も開演は当日券購入客待ちだったようです。

作品の構成を簡潔に解説してくださり、これは鑑賞にあたっての大きな助けになりました。行きの電車内でスマホで調べて読んだりしていましたが、マエストロの説明がわかりやすかったこともあり、耳から入ってくる情報の方が理解しやすい、という気づきもありました。それに加え、窓の下でマンドリンを奏でて歌うことを「婚活」、「夜の」というと大人の世界…夜のお菓子「うなぎパイ」、などいつものユーモア・トークが聞けたのもヌマジリアンには収穫でした(笑)

さてこの作品、マニア以外にはちょっと難解で、予習できていたとしてもあまり有効ではなかったかも(覚えられない)と感じました。聴いている時はつい先ほど聞いた解説をまだ覚えていたので、マーラーの多相な音楽を楽しんでいたのですが、一晩寝て起きたらすっかり忘れているという…。

しかし、今年の3月に6番を聴いていたことが鑑賞の助けになりました。第1楽章に6番を彷彿とさせる部分があったり、第2楽章でカウベルが鳴らされるところなども類似性があり(これはマーラーの郷愁、とのこと)、マーラーの心の内を垣間見るような気がしました。

マーラーならではの込み入った音楽ではあるのですが、なにしろオーケストラの響きが美しいので、音楽に浸る幸せは十分に感じることができました。そして、第4楽章のセレナーデ部分、ギターとマンドリンが入る部分は、楽器自体の音量の面からちゃんと聴こえるのだろうか?と懸念していましたが、随分とはっきり聴こえてきました。どうやって音量調節されていたのでしょうか?

3年前に沼尻マエストロが大フィル定期で「大地の歌」を指揮された際、オケの大音量にも拘わらずテノール独唱がはっきり聴こえてきたときのことを思い出しました。魔術師ですね。

さてこの交響曲、第5楽章がそれまでの楽章とガラリと変わり「昼真っ盛り」のようで、ひとつの纏まりある世界として描き切るのは難しい、との指摘があるそうですが——マエストロの優れた設計によるものなのか、この日の演奏では奇異な印象はまったくありませんでした。特に奇異なものとして捉えてはいない、といった感の演奏だったと思います。「これでいいのだ、マーラーだから」という感じが私にはしたのですが、終演後に多くの「ブラボー」が叫ばれたこの演奏、マニアの方々にはどう響いたのでしょうか。

◇座席
3階2列目、上手側通路脇。
前席のオジイサマが通路側に出した左手でエア指揮をするのが目障り。
男性客の割合が高く、マニア率が高いように見受けられました。

タイトルとURLをコピーしました