15時開演 京都コンサートホール 大ホール
ベルリン・フィル、ウィーン・フィルと並ぶ三大オーケストラのひとつ、コンセルトヘボウの来日公演。美しい音色に魅了されました。
唯一無二の音色を持つとされるコンセルトヘボウですが、私の第一の目的はブロンフマン氏でした。ピアニストの追っかけが止まりません(笑)
私にとってはベルリンフィル・デジタルコンサートホールでお馴染み?のピアニストで、以前よりその力強くヴィルトゥオジティにあふれた演奏に魅了されていました。それに加え、この夏のヴェルビエ音楽祭のガラ・コンサートで、出演ピアニスト10人がラフマニノフの「10の前奏曲Op.23」を1曲ずつ弾いていくというプログラムでの演奏に感嘆し、是非とも生で聴きたい!と思っていたのです。
今回の演奏曲はリストのピアノ協奏曲第2番。ルイージ氏と初めて共演したときに演奏したのがこの作品だったそうです。単一楽章で20分程度と短く、とりとめのない印象もありますが、リストならではの超絶技巧が楽しめる作品です。
映像で見る通りの巨体、椅子の座面をかなり高くし、腕は曲げずに高い位置から斜めに振り下ろす独特の演奏スタイル。そして、期待通りの物凄い演奏でした。超絶技巧を大音量で弾きこなす、その演奏技術と迫力と存在感に圧倒され、そこでブロンフマンが演奏している、ということ自体にも感激してしまいました。
今年65歳なので「巨匠」と言っていい年齢ですが、巨匠という言葉から想起される、レジェンド=過去の人、という雰囲気は皆無。バリバリの現役、と思っていたら、プログラムには「名匠」と書かれていました。なんとピッタリな表現!
と、しかし、目当てがピアノ協奏曲ではあったものの、ウェーバーの序曲「オベロン」が始まったときから、まずヴァイオリンの音色に心を掴まれ、早くも涙目となってしまったのです。美しい!
ふわり、しっとりとした、これまでに聴いたことのない独特の空気感がある音色。束感はあるけれど、強く縛られていない柔らかさがあり、どのようにでも変化できるフレキシビリティが感じられるのです。
ピアノ協奏曲の途中にチェロの独奏とピアノが掛け合う箇所があるのですが、そのチェロがすでにコンセルトヘボウの音色であることにも驚きました。決してソリスティックではなく、控え目で空気感のある音、その音の集合体がこのオーケストラのサウンドなのだと得心しました。
チェコ・フィルとは異なり、様々な国籍、人種で構成されたオーケストラ(第一ヴァイオリン最後列プルトのお二人は日本人)。この音色は、伝統として作り上げられ、継承されてきた共通言語のようなものなのかと感じました。
後半はチャイコフスキー交響曲第5番。
プログラムがこのような「名曲」で本当によかった。何も難しいことは考えず、ただただ美しさの中に浸ることができる音楽。これこそが生で音楽を聴く喜び、至福の時間でした。
◇ソリスト・アンコール
ラフマニノフ:前奏曲Op.23-5
なんと!ヴェルビエ・ガラのあの曲ではないですか!生で聴けるとは!嬉しすぎて涙が出ました。
◇オーケストラ・アンコール
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」
◇座席
1階後ろから2列目ほぼ中央。
チケット・サイトでの購入。3連休絡みなのと、このホールの音響が好きでないのとで、迷っているうちに完売。諦めかけていたものの、やっぱり行きたい!と検索したところ、定価より安いチケットが売り出されていて即購入(3回通し券のうちの1枚)。
やや上手寄りのほぼ真ん中、ぎりぎりピアニストの手元が見える、まぁまぁよい席でした。そして今まで聴いた中で最も音響が良い。半分雨宿りのこの辺りが音響が良いとは、つくづく不思議なホールです。
◇その他
カーテンコール時のみ撮影OKでパチリ。
遠い(笑)
スタンディング・オヴェイション——真後ろが空席だったので率先して立ち上がりました!
マエストロとコンマスの一般参賀あり。
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