19時開演 カトリック芦屋教会
すっかり我が年中行事となったこのコンサート、今回も充実の公演を楽しませていただきました。
この日は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの弦楽器と、オーボエの作品も含まれるプログラム。ヴィオラがベルリン・フィル首席の清水直子さん、オーボエが世界的に活躍されている吉井瑞穂さん、と今年も豪華な出演者でありました。
前半にベートーヴェン「弦楽三重奏のためのセレナーデ」とハンス・ガル「オーボエ、ヴァイオリンとヴィオラのための三重奏曲」。
このハンス・ガルの作品を聴けたこと(知ったこと)が、今回の最大の収穫だったかもしれません。この作曲家の名前を聞くのも初めてだったのですが、いつものSpotify予習で初めて聴いた時から、すっかり魅了されてしまいました。1曲目、オーボエ・ソロの”Pastoral”のハッとするほどの美しさ。スイスの避暑地に行き、シャレ―の窓を開け放った瞬間、こんな気分になるのではなかろうか?と妄想が広がってしまいました。
これを吉井瑞穂さんで聴ける幸せ。吉井さんはN響に出演されていた際(クラシック音楽館)のその歌心溢れる演奏に「世界レベル」を感じ、生で聴いてみたいと思っていた奏者。それをほんの3m程度の至近距離で聴ける大変に贅沢な体験でした。
ハンス・ガル(1890-1987)はハンガリー生まれのユダヤ人で、ナチスの迫害により後年イギリスに移住。活動時期は20世紀ですが、いわゆる現代音楽とは無縁で、ロマン派を守った作曲家とのこと。調べてみると、交響曲、協奏曲、オペラ、室内楽、ピアノ曲など多彩な作品があり、今後聴いていきたい作曲家です。こういう出会いがあるのもコンサート通いの楽しみのひとつです。
後半のモーツァルト「ディヴェルティメント K.563」は、弦楽三重奏。ディヴェルティメントには様々な楽器構成の作品があるということも初めて知りました。この作品は、メヌエットが2曲含まれた6曲での構成。室内楽にしては長い演奏時間ではあったのですが、なにしろ個々の楽器の響きが美しく、ハーモニーも美しく、非の打ち所のない演奏に、長さを感じることはまったくなかったので、終演が21時を過ぎていたのには驚きました。
しかし、このような完璧な演奏を聴くことに慣れてしまうと、今後の音楽鑑賞ライフに支障を来すのではないか——幸福感とともに、そんな危惧すら感じた一夜でした。
◇アンコール
なし。終演後に日下さんが「21時を過ぎている」と仰って、時計を見て驚いた次第です。
◇座席
最前列中央。
今回も張り切って自転車を漕ぎ、17時45分頃に到着(開場は18時30分)。前から9人目。先頭の方は17時から並んでおられたとのこと(笑)