2020年9月16日(水)大阪クラシック(有料公演11)

19時開演 中央公会堂 中集会室

毎年恒例の「大阪クラシック」
勤務先の中之島界隈に会場が設けられるので、私にとっては「秋を告げる」年中行事のひとつ。毎年このイベントの案内パンフレットがビルの入口に置かれると「あぁ今年も暑い夏が終わって秋になるのだなぁ」との感慨と、芸術の秋への期待の心境になるのです。
昨年までは無料公演を会社帰りに「覗きに行く」感覚で鑑賞していましたが、今年はそれがなくなったこともあり(配信に変更)、1公演のみですが有料公演に行くことにしました。

◇ヴァイオリン須田暢大(大フィルコンサート・マスター)、ピアノ平山麻美
・ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 作品100
・クララ・シューマン:3つのロマンス 作品22
・ロベルト・シューマン:幻想曲ハ長調 作品31(クライスラー編曲)

ちょうど仕事がひと山超える日でちょっとした自分へのご褒美と、秋の夕べのヴァイオリン・リサイタルは素敵だな、と思ってこの回を選びました。ブラームス、シューマンの弦楽作品というのも秋らしく、それにあまり聴く機会のないクララ・シューマンの作品も含まれていて、うーん、三角関係?ーー須山さんは「親密な3人」と仰っていたけれどーープログラムの妙にも魅かれました。

あまり室内楽のコンサートに行かないのもありますが、音楽祭ならではの短い尺でのプログラム、というのも、一般的なコンサートでは採り上げられない楽曲が聴けて魅力的。奏者の方の思いも詰まっているように思います。
R.シューマンの「幻想曲ハ長調」は、シューマンの精神状態が不安定になり始めたころの作品でーー確かに悲痛な雰囲気の短調で始まるのに突然長調に変わるので、少々奇異な感じも受けますーーこのままでは演奏至難だが美しい曲なので、なんとか演奏できるようにしたいと、クララがヴァイオリニストで作曲家のヨアヒム(ブラームスの友人でもあった)に編曲を依頼していたが完成せず、のちにクライスラーによって編曲されたというもの。このようなエピソードを知ると、その当時の状況、雰囲気も理解できて鑑賞に深みが増します。

宮殿のような華麗な内装の会場で、ロマンティックな旋律を歌うヴァイオリンにうっとり。
そして、ここのピアノはベーゼンドルファーなのですが、改めて聴いてみるとまろやかな響きで、よく言われるように伴奏に適した音色であると感じました。

「改めて」と書いたのは、実は3年前まで在籍していた合唱団の練習がここで行われていたから。3年ぶりに訪れてみるとやはり美しい空間で、この会場でベーゼンドルファーの伴奏で練習という随分贅沢をしていたのだなと感じました。(響きすぎるので練習にはやや不向きでは?とも思っていましたが)

来年はどのような状況になっているのかわかりませんが、昨年までのように立ち見で人の頭越しの鑑賞よりも(奏者が全く見えないことも – -;)、美しい空間でゆったりとした気持ちで鑑賞できる有料公演の方が断然良いと感じました。来年は1回だけでなく複数回行ってみようかしら?と思っています。

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