19時開演 いずみホール
「藤田真央が気心の知れた仲間たちと贈る、室内楽の愉悦」。日本人若手トップ奏者による夢のピアノ・カルテット。

各パート、私の最推し奏者が顔を揃えた豪華な布陣。以前、ヴィオラ鈴木さんを除くピアノ・トリオでの演奏会(確か山形の方?)を知ったときは、「なんと!関西でやってくれないのか?」と羨んでいましたが、今回それが実現した形です。
曲目は、最初にモーツァルトの第1番、次にマーラーの未完作品(第1楽章のみ)、後半にR.シュトラウス。
冒頭チューニングのA音から既に「真央ワールド」。以前ヴィオラのタメスティ氏との公演時にもハッとしましたが、今回はさらにソフトに丸く進化していました――と演奏はまだ始まっていないのですが。
その真央さんの柔らかなピアノに、辻さんの強く凛々しいヴァイオリンが歌う。どこまでも正確なピッチに絶対的な信頼を置きつつ、美音に浸る至福。
この日の辻さんは白いドレス。音楽に限らず、どのような集団でも女性が混じるとやはり華やかさが出ます。スレンダーなドレス姿に細くしなやかな腕の動きの美しさも印象的。(どうかいつまでもそのスレンダーさを保ってください、と願う我(笑))
そして、中音域、低音域を担う鈴木さんと晴真さんに意識がいくと、ここでまた深い満足感が得られるという、鳴っている音楽プラスαの喜びがもたらされる、得難いひとときでもありました。
読響ヴィオラ首席の鈴木さん、ある時はヴァイオリン、またある時はチェロ、の両方の音域を担い、艶やかさも深みもあるその音色に魅了されました。ステージの中央に座っているためか、非常によく響き、チェロを凌駕するような低音の鳴りに耳を奪われることもしばしば。この日の収穫のひとつでもありました。
冒頭モーツァルトの天国的音楽。今ここで死んでもよい、などと思ってしまう美しさ。
2曲目、マーラーがわずか16歳で作曲した作品は、人生の苦みを体験したかのような「老成」具合と天才性に驚きつつ、辻さんの捻じれを含んだ大迫力の音色――表現の幅の広さにも感嘆。
R.シュトラウス作品になると、ロマン派全開。真央さんのピアノが迫力へとギアアップし、それに素晴らしい弦が絡み――モーツァルトとは別の人生の至福の時を感じました。
なんとも豪華な室内楽の体験。
「帰国」ではなく「来日」と表現され、世界を駆けまわる真央さん、でもまたいつかこのメンバーで聴かせていただけることを祈っています。

◇アンコール
モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 K.493より第2楽章
◇座席
R列中央ブロック下手側。よく見える席でした!

