2026年7月16日(木) ヴィンセント・オン ピアノ・リサイタル

19時開演 ザ・シンフォニーホール

昨年のショパンコンクール第5位のヴィンセント・オン氏のリサイタル。

ショパコン時、小柄ながら既に巨匠然とした落ち着いた佇まいや、反田恭平さんが眼鏡のズレ止めをプレゼントした、などのエピソードも話題となったヴィンセント・オン氏。
ちなみに我が家では、体格と醸し出す雰囲気とのギャップから「コナンくん」と呼んでおりました。世界中のショパコン視聴者は、演奏技術はもちろんのこと、この「ギャップ」にも魅せられたのではないかと思っています。

今回のツアーでは2種類のプログラムが用意されており、この日は前半にブラームス、ハイドン、バルトーク、後半にショパンの「24の前奏曲」というものでした。

ピアノはもちろん、ショパコン時と同じシゲルカワイ。
まず驚いたのは低音の迫力。シゲルカワイでここまで強い低音を聴いたのは初めてでした。特に体を大きく使っているようには見えないのですが、いわゆる「脱力」が上手くできている、ということなのでしょうか。

一方で、ソフトペダルを使ったくぐもった音色での速弾きが印象的で、それらの魅力が合わさったバルトークが最も彼の個性を示す演奏のように思えました。ロマン派よりも、たとえばプロコフィエフなどが合うのではないか、とも感じたり‥。

同様の調子で、後半のショパンはかなり個性的。川底を浚ってふるいにかけ、細かな砂は取り除かれてごつごつした石ばかりが残った、という印象。耽美的な面がそぎ落とされてはいるものの、これもショパンの一面化も知れない、と思わせる不思議な説得力がありました。第15番「雨だれ」に続く、第16番の怪しげな雰囲気など、魅せられるもの箇所は多々。

と、――前半にも感じたのですが、速弾きで上滑りしているように聞こえる箇所がいくつかあり――こういったところを明晰に演奏する我が推しピアニストたちがつい頭に浮かんでしまったのも事実。

スタンディング・オヴェイションで盛り上がっての終演。
コンクール時とはまた違った印象で、この個性的なピアニストを知ることができた演奏会でした。

◇アンコール
ショパン:夜想曲第13番ハ長調 Op.48-1
ショパン:12の練習曲集 Op.25 第2番ヘ長調
ショパン:12の練習曲集 Op.10 第4番嬰ハ短調

◇座席
1階N列下手側。
実は視界良好なこのあたり。でも私はやっぱり2階最前列かな?と。

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