2025年3月12日(水)レ・ヴァン・フランセ

19時開演 川西市キセラホール

世界最高峰の木管楽器奏者ユニット「レ・ヴァン・フランセ」。
前々日の夜中に知った公演、高揚した気分のまま行ってきました。

ということで、公演の前々日、就寝前の習慣で何気にX(Twitter)を眺めていたら、ジャパン・アーツの「メンバーが関空に到着」との写真付き投稿が目に飛び込んできたのです。パユ(Fl)、ルル―(Ob)、メイエ(Cl)、ヴラトコヴィチ(Hr)、オダン(Bs)、ル・サージュ(Pf)。綺羅星の如し。これは行かなければ!と翌日主催に当日券が出ることを電話で確認、当日の仕事は早めに切り上げて、初めて訪れるキセラホールまで行ってきました。

開演直前、ステージ扉が開くと、袖でワチャワチャと会話しているのが聞こえてきました。これまさに “Les Vents Français”(フランスの風)。海外オーケストラの公演に行くと、演奏の前後にステージ上の奏者同士がよく喋っていますが(日本のオケではあまりない)、今まで見た中で最もよく喋っていたのがパリ管(笑)——この自由でリラックスした雰囲気、なんだかいいなぁ、と感じた次第です。

と、前半は、木管アンサンブルのために編曲された2作品。ブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」とヴェルディ「クインテット」。

ヴェルディに器楽曲があることを初めて知ったのですが、これが唯一の室内楽作品とのこと。冒頭のアリアのような旋律はホルンが担当。オーケストラ作品で聴くホルンとは雰囲気の異なる節回しで、弦楽で聴くよりも「歌」っぽいのが印象的でした。4楽章フーガの個々の楽器での追いかけ合い。しかもこれが鬼のようなタンギング連続の音楽で、木管奏者の口周りのタフさ——ついクラリネットを吹いていた頃のことを思い出してしまいました。フルートのパユ氏とオーボエのルル―氏の高速タンギングぴったり具合に驚嘆。

後半1曲目は、アンドレ・カプレ「フルート、オーボエ、クラリネット、バソンとピアノのための五重奏曲」。カプレは、ドビュッシーと同時代の作曲家ですが、この作品は「真面目なドビュッシー」といった印象。木管楽器ならではの牧歌的で美しい音楽でした。

ちなみに、「バソン」はフランス式のファゴットですが、楽器の仕組みが異なるそうです。見た目もファゴットよりやや細身、華奢な感じで、それがフランスぽい感じでもあります。学校の音楽の授業では「ファゴット」ではなく「バスーン」で習った記憶がありますが、後から調べたところ、「ファゴット」はドイツやイタリア、「バスーン」は英語圏での名称とのこと。

この作品、木管類がオーケストラ部分を奏でるピアノ協奏曲のようにも聴こえたのですが(特に4楽章)、ピアノの音量が控えめな印象。ホールの音響のせいでしょうか。

このホールは7年前に竣工した「キセラ川西プラザ」の中の1棟で、収容人数 1,000人の中規模多目的ホール。音楽専用ホールではないので、残響少な目。スーパープレイヤー集団なので、素晴らしい音色ではあったのですが、もう少し響いてもよいかな、とも感じました。

話は戻り——最後の曲は、このユニットの看板作品、プーランクの六重奏曲。冒頭から「プーランク節」満載。カプレ作品の田園風景とは対照的に、こちらは都会の喧騒、といったところ。木管の音色はこの諧謔的で洒脱な音楽、都会の描写にも合っていて楽しめました。終楽章コーダ手前の全休止がほんの少し(ゼロコンマ数秒)短かったのは少々残念でしたが、再び盛り上がって、心地よく着地。

あっという間に終わってしまった感がありましたが、20分の休憩を入れてたっぷり2時間。大満足の演奏会でした。

◇アンコール
テュイレ:ピアノと管楽器のための六重奏曲 変ロ長Op.6より第3楽章 ガヴォット

ピアノ譜の準備に手間取っているタイミングで、オーボエのルル―氏が唐突に立ち上がり、「アリガトゴザイマシタァ!」と挨拶(笑)

◇座席
1階R列下手側。
1階はX列までありましたが、私の座ったR列以降は殆ど空席。2階席は売り止め。
前方席はほぼ埋まっていたのですが、ちょっと寂しい客入り。勿体ない‥。

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