2026年5月28日(木) ワン・ズートン ピアノ・リサイタル

18時30分開演 いずみホール

昨年のショパンコンクール第3位のワン・ズートン氏のリサイタル。

ショパンコンクールの3次予選、ライブで日本時間深夜0時からの牛田智治さんのすぐ後の演奏だったのですが、その鮮やかで豊かに鳴るピアノに文字通り「瞠目」、結局彼女の演奏が終わるまで観てしまい就寝は2時頃――という私の惹きつけられ具合そのままに見事第3位入賞を果たしたワン・ズートン氏。

ショパコン時は、白いブラウス風ジャケット+黒パンツの衣裳でファイナルまで通したのが話題になっていましたが、この日はワインレッドのセットアップ。「シゴデキ女子」的ルックスの彼女には颯爽としたパンツスタイルが似合います。そしてピアノはもちろんのシゲルカワイ。

プログラムは、前半にショパン「幻想ポロネーズ」とシューマン「ダヴィッド同盟舞曲集」、後半にショパンのピアノ・ソナタ第2番、ショパンの歌曲をリストがピアノ編曲した「6つのポーランドの歌」から2曲、そしてリストの未完の作品をブゾーニが完成させた「モーツァルトのフィガロの結婚の主題による幻想曲」。

特に印象に残ったのは、シューマン「ダヴィッド同盟舞曲集」。ショパコン3次予選で、彼女の演奏に惹きつけられた、その理由が分かったような気がしました。「ストーリーテラー」とでも言えばいいのか、その作品の意図するところがとても明確にわかる演奏なのです。特に派手な動きをするわけでもなく、むしろ淡々と弾き進めているのですが、曲のその先が見通せる感じがするのです。

この曲集の中では、抒情的な作品の演奏に魅了されました。快活な1曲目に続く2曲目。そして終曲の1つ前の17曲目。美音と表現力――と、私の悪い癖で、「全18曲」などと知ると、つい指折り数えて聴いてしまうのですが、今回はあえて「指折り」は封印。ところが、17曲目で終わりが近づきつつあること、そして短く丸くタンギングのように弾かれた18曲目はエピローグである、とはっきりとわかったのです。説得力。素晴らしい。

後半最初のショパンのピアノ・ソナタ第2番は、ソナタ賞(クリスティアン・ツィメルマン賞)を受賞した彼女の十八番――と思いきや、これは妙に急いた感じのテンポで、ホールの残響もあってややダンゴ状態の響き。あの見通しの良さはどこに?と思ったのですが――最後のリスト=ブゾーニ「モーツァルトの‥」の後半に行くにつれ盛り上がっていく超絶技巧。これには圧倒されました。当たり前だけど――めちゃくちゃ弾けるのですね、やっぱり――と何だか嬉しくなってしまいました。

アンコールは、ショパンのノクターンでしっとりと。ブゾーニで沸いた聴衆を鎮静化。先日のチョ・ソンジン氏に続く流れ。2曲目を期待しましたが、ピアノの蓋を閉めるパフォーマンスで客席の笑いと納得(諦め?)を得ての終演でありました。

◇アンコール
ショパン:ノクターン第4番ヘ長調 作品15-1

◇座席
Q列下手側。
迷っていてチケ取りが遅れ、いつもの席より少し後ろだったもののよく見える席で満足。

◇その他
若手男子ピアニスト並みに観客の8~9割方が女性。ピアノの先生らしき方が多い印象。

 

 

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