15時開演 フェスティバルホール
昨年に続き、今年もマエストロ ・デュトワの登場。
定期演奏会でこれを聴かせていただいていいのかしら?と思うほどの名演でした。
2019年以来、コロナで2年中断はしたものの毎年定期に登場され、大フィルとは相思相愛の関係なのでしょうか。我々聴衆にとっては大変ありがたいことです。
フランスとロシアを組み合わせたプログラム。
中でも、最後に演奏された「ラ・ヴァルス」が素晴らしかった!
オーケストラ全体の響きが艶やかで、みっしりとした束感があり、舞台から光が放たれているようでした。そしてこの演奏で最も感じたのは、フランス語を話す人の歌いまわし——ラヴェルが感じていたはずのフレーズ感。ふわりとした空気を感じさせる音楽でなんともいえない悦楽感があります。言語と音楽の関係はよく言われることですが、それを明確に感じる演奏に接したのは初めてのことでした。言語の持つリズム感は体に自然と染み込んだものであり、母語が他国語の指揮者では出せないもの。それをここで聴けていることの贅沢さを感じました。
「ラ・ヴァルス」の印象があまりに強すぎて、その他がちょっとかすんでいるのですが——ストラヴィンスキー「ナイチンゲールの歌」は意識朦朧で聴いていました——楽しみにしていたのが今回初めて聴いたチェリスト上野通明さん。ピアニストと同様、近年チェリストも優れた若手が充実していますが、上野さんもそのひとり。ショスタコーヴィチのコンチェルト第一番、豊かな音色は期待通りでした。あまり「歌」のない作品での出会いが私としては少々残念だったのですが、アンコールの「鳥の歌」の悲痛な音色に心を掴まれました。また別の作品で上野さんの演奏を聴きたいと思っています。
このコンチェルトのオケのホルンは奏者一人だけで、チェロとホルンの二重協奏曲といってもいいような構成なのですが、ホルントップ奏者の高橋将純氏の力強く澄んだ音色に魅了されました。
それにしても、このレベルの演奏を定期演奏会のお値段で聴かせていただいていいのでしょうか?と、ここのところ今秋来日の海外オケ公演のチケットを次々購入しているクラオタは思うのでした。マエストロと大フィルさんに感謝!
◇ソリスト・アンコール
カザルス:「鳥の歌」
◇座席
2階最前列の中央付近の良席。
法人会員で定期会員とほぼ同じ金額で聴かせていただきました。会社にも感謝(笑)