19時開演 ザ・シンフォニーホール
久し振りの大阪交響楽団の定期演奏会。
「フランス・エスプリの世界」と題された合唱作品を含む豪華なプログラムでした。
前半の2曲、イベールの交響組曲「寄港地」、ラロの「スペイン交響曲」とも、フランス人作曲家の作品ですが、どちらも「フランス人の異国趣味」。ラロはスペイン バスク地方がルーツなので、先祖返りでしょうか。ちなみに「スペイン交響曲」は、ビゼー「カルメン」より初演が1ヶ月早いだけのほぼ同時期で、当時の音楽的な潮流でもあったようです。
どちらもよい演奏であったとは思いますが、ちょっと真面目な印象。スペイン風の音楽に期待する、リズミックで色彩感溢れる演奏からは遠く、少々もどかしさを感じてしまいました。マエストロ デリック・イノウエ氏は、METでも指揮されていた経歴の持ち主とのことですが——こういった楽曲では「踊る系」(私の勝手な分類です)の指揮者の方が合っているのではないかと、それに該当する数名のマエストロを思い浮かべながら聴いてしまいました。
「交響曲」と銘打ってあるものの、実際にはヴァイオリン協奏曲のこの作品のソリストは竹澤恭子さん。煌めく音色、超絶技巧も易々と弾きこなす堂々とした存在感。ただ、音程ど真ん中感はやや薄く、終盤トリルの音程の説得力などは今ひとつ。このような審査員的な聴き方はしたくはないのですが(そんな能力もないわけで)。
休憩後は、こちらも楽しみにしていた合唱曲、プーランク「グローリア」。
大響合唱団には関フィル合唱団と掛け持ちの方や他に知っている方も数名おられて、「合唱団のコンサートを聴きに来た」の感。関フィル合唱団を客席で聴いたらこんな感じかなと思いつつ聴かせていただきました。
1曲目”Gloria” 冒頭バスの出だしはハッとする「エェ声」で掴まれました。音の取りにくい箇所も難なく通過——と思っていたら、2曲目”Laudamus te” の途中で後打ちのオケと合唱が重なってしまうアクシデント。何が原因かはわかりませんでしたが、ドッキリでした。
ソプラノ・ソリストは可もなく不可もなく。あの魅惑的な旋律で大きく持って行かれる感がなくて少々残念。加えて歌詞が不明瞭なのが気になり——ラテン語の発音はこんなに聞き取りにくいものだったかと(今後の確認事項)。
なんだか文句ばかり並べてしまいました。
悪くはないけれど、ちょっとずつ不足を感じる‥そんな演奏会でした。
欲張りでスミマセン。
◇ソリストアンコール
カザルス:鳥の歌
◇座席
2階正面後部。