2023年12月31日(日)ジョン・アクセルロッド指揮/ジルヴェスター・ガラ・コンサート

15時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

今年はこちらのジルヴェスター・コンサートに行きました。

第一部は2024年が没後100年のプッチーニ、第二部は「スター・ウォーズ」を採り上げたプログラム。

冒頭には、プッチーニの管弦楽作品「菊の花」が演奏されました。オペラ以外のプッチーニ作品を聴くのは初めてで、貴重な体験でした。追悼のために作曲された作品とのことで、現在の世界情勢を鑑みてのことでしょうか、この演奏はマエストロのたっての希望であったとのことです。

その後、2024年のプロデュース・オペラの「蝶々夫人」に因み、蝶々さんに森麻季さん、スズキに林美智子さんを迎え、「ある晴れた日に」と間奏曲、そして「花の二重唱」。
弦14型のオーケストラを背負っての歌唱で、声が埋もれがちだったのは少々残念でしたが(こんな感想を述べる類のコンサートではないのですが)、でも美しい歌唱でした。

このお二人の豪華な組み合わせで、これだけでは物足りないし勿体ない、と思っていたところ、アンコールでドリーブの歌劇「ラクメ」から、同じ題名の「花の二重唱」が演奏されました。満足。

第二部の開演前には、舞台にスモークが焚かれ、上手側の扉が開くとそこからも大量のスモーク。「スーハースーハー」という呼吸音がしたかと思うと、マエストロがダース・ベイダーの扮装で登場!客席は大いに沸きました。

そのまま指揮台に上がり、ダース・ベイダーのテーマ「インペリアル・マーチ」をライトセーバーで指揮。楽しい~!
(この演奏が終わるとマスクを外して「ハァ~」と一息、メガネをかけて指揮棒に持ち替え。チャーミング!)

その後は「『スター・ウォーズ』大解剖!」のタイトルの通り、この映画音楽に影響を与えた楽曲でのプログラム。「スター・ウォーズ」の楽曲のさわりの部分を演奏した後に、その引用元の作品を演奏する、というもので、とても興味深いものでした。

楽曲ごとにあらかじめ用意された文章をマエストロが英語で解説し、左右の字幕でその日本語訳が表示される、という分かりやすい進行。

「ワルキューレ」や「火星」は、まだ「参考にした」程度と思われましたが、コルンゴルト「嵐の青春」とスター・ウォーズ「メインテーマ」は似過ぎていて、作曲家が存命なら訴訟になったのでは?と要らぬ心配をしてしまうほどでした。

2020年1月、ウィーン・フィルがジョン・ウィリアムズを招聘し、自作を指揮する公演を行いましたが、私はこれがジョン・ウィリアムズ作品が「クラシック音楽になった」瞬間だと思っています。このときの「インペリアル・マーチ」を演奏するトランペット奏者の少年のような笑顔が印象的でした。そう、このキャッチーでワクワクする音楽はみんな大好きなのです!

私としては、子どもの頃から「映画音楽」として親しんだものがクラシック音楽に取り込まれていく、その過程に立ち会えていることを喜ばしく感じています。

一方で、それぞれの引用元の音楽の先進性や管弦楽としての素晴らしさも改めて感じ、その豊かな響き、オーケストラ音楽を聴く喜びに浸る時間でもありました。

なお、マエストロによると、ジョン・ウィリアムズは音楽史上「最も成功した」作曲家で、映画音楽で得た収入は数十億円。「もしお子さんが作曲家になりたい、と言っても絶望しないでください」とも。

アンコールは、「白鳥の湖」やニーノ・ロータ「ロミオとジュリエット」からの影響を感じるとのマエストロの解説の後、「クローンの逆襲」から「愛のテーマ」。

そして、最後に再び森麻季さんと林美智子さんが登場され、客席ではサイリウムを振って皆で「蛍の光」を歌って(ついつい本気で歌う笑)終演となりました。

という訳で、大いに楽しめて勉強にもなった、大満足の演奏会でした。
今年もたくさんの素晴らしい演奏に立ち会えたことに感謝です。

◇座席
2階席3列目、中央ブロックのやや下手寄り。
前席とは半分ずれているので視界良好。

◇その他
来場者全員にスポンサーの高山堂から和菓子のプレゼント。
西宮港から出港した堀江謙一氏のマーメイド号に因んだ「スウィートまーめいど」。翌日美味しくいただきました。

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