2020年10月29日(木)大山平一郎指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団第314回定期演奏会

19時開演 シンフォニーホール

本来であれば、飯守泰次郎マエストロ指揮でブルックナーの交響曲00番、0番という珍しいプログラムであったのですが、マエストロが急性胆嚢炎で入院のため、指揮者とプログラム変更で行われました。

「00番」「0番」という滅多に聴けないプログラムを大変楽しみにしていたので残念、飯守マエストロのご病気も心配、という状況でどうなることかと案じていましたが、指揮者は大山平一郎マエストロ、同じくブルックナーで、交響曲第4番「ロマンティック」に変更。とりあえず同じブルックナーを聴けるということで、楽しみに出掛けました。

ちなみに、飯守マエストロはまもなく退院されるとのこと、そしてこのプログラムは来シーズンに持ち越されるとのことで、ひとまず安堵しています。

ブルックナー作品でまず話題になるのが、どの版で演奏されるか、ということですが、今回は「1878/80年稿 ノヴァーク版第2稿」。この版で演奏されることが最も多いようです。予習としてWikipediaなどでこの「版問題」を調べましたが、一読では理解できないほど煩雑。とりあえずわかったのは、1874年の完成からブルックナー自身が1878年に改訂し、さらに4楽章だけ1880年に改訂したのが「1878/80年稿」。その上で「ハース版」と「ノヴァーク版」がある・・というところまではなんとか理解できました。ここから先、深掘りするのも楽しいかな、と思いつつ、掘ってもすぐに忘れそうな事柄なのでそれ以上は追求しないことにしました。ここで掘り進めると「ブルオタ」カテゴリーに入ってしまいますね(笑)

ちなみに「ロマンティック」という副題はブルックナーによるものであるかは不明で、出版された楽譜にも記されていないとか。
この副題があることにより、ブルックナーの交響曲の中で最もメジャーな存在であるのかもしれませんが、私の感覚としては、どのあたりがロマンティックなのか(強いて言えば4楽章のあたり?)よくわかりません。演奏機会には多分に寄与していると思われるこの副題ですが、鑑賞者の困惑を招いているような気がしなくもないです。

大山平一郎マエストロ、実は今回初めて知った指揮者でした。ヴィオラ奏者でもあり、アメリカでの活動が長かったとのこと。アメリカンスタイル(チェロが手前に来る)オーダーはその故かと思いましたが、その後調べてみると、朝比奈隆はじめブルックナーはこのオーダーで演奏されることが多いようです。弦12型でしたがプルトではないため、ステージいっぱいに広がった配置でした。

とても丁寧に丁寧に、厳密な雰囲気で指揮をされていて、オケの響きは重厚で濃密。「分厚い」ブルックナーサウンドを楽しむことができました。
ただし、どの楽章もまったく同じスタイルで指揮されるので、楽章ごとの、あるいはパッセージごとの音楽性の違いを指揮者の動きで見て感じ取る、ということはできにくかったな、という印象でした。

それにしても・・あまりネガティブなことは書きたくないのですが・・金管楽器のアインザッツの揃わないこと。出そびれているのか飛び出しているのかよく分からなかったのですがーー普段から合っていないのか、あるいは指揮がわかりにくかったのか? せっかくの弦の濃密でつややかな響きに水を差す感じで残念でありました。
日本は吹奏楽が盛んなのに、ヴァイオリンなど弦楽器の巧さに比して管楽器が今一つの感じがするのは何故なのかなぁと、これは他のオケの帰りにもよく思うことです。

 

ところで、感想とは離れてしまいますが、先日読んだ小説「不機嫌な姫とブルックナー団」。ブルックナーがいかに「イタい人」だったかというエピソードが作中作の形で挿入されており、これが見てきたかのような描写力ですこぶる面白い。変人エピソードには事欠かない人物だったようですが、その人格と音楽の天才性とがリンクしていないところもまた興味深く、うーん、ブルックナー、ますますハマります(笑)

◇座席
2階5列目、中央よりやや上手側。音響も視界も良好。やはりブルックナーは正面の後ろの方がベスト、2階席の最後列でも良かったかなと思いました。
しかし、市松配置でなくなった座席、申し訳ないけれどやはり圧迫感あります・・

タイトルとURLをコピーしました