2024年5月10日(金)飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団 ハイドンマラソン HM.35

19時開演 ザ・シンフォニーホール

久し振りでセンチュリーのハイドンマラソンを聴きに行きました。

前回ハイドンマラソンを聴いたのは、2020年6月20日。
コロナで次々と中止になっていったコンサートがようやく再開し始めた時で、この公演がコロナ以降日本で初めてのフルオーケストラでのコンサートでした。

あれから4年。当時の感染対策のあれこれ(入場前の消毒、1席とばしの客席、演奏者同士の握手禁止、Bravo禁止など)はもう遠い昔のことのようです。

それ以降、ハイドンマラソンからは遠ざかっていたのですが(スミマセン)、5月に定期がないこと、および塀演されたモーツァルトの歌劇の抜粋演奏にバリトンの大西宇宙氏登場!ということもあって足を運びました。

今回の特徴としては、交響曲第42番にチェンバロが取り入れられており、これが中間のモーツァルトの歌劇ではもちろん、最後の103番でも通奏低音として演奏されていたこと。42番のチェンバロ繋がりでモーツァルトと組み合わせたのかと推測した次第です。

期待の宇宙さん、「コジ」での颯爽とした登場からしてなんともサマになること。張りのある美声と豊かな声量、表現力もいつも通りに素晴らしく、ホールに満ちる朗々とした響きを堪能。8月には同じこのホールで、フォーレのレクイエムを後ろで歌えると思うと嬉しさが込み上げてきました(超個人的な感想です笑)。

ソプラノの村岡瞳さんは聴き始めでしたが、これぞソプラノの艶やかな声とよくコントロールされた歌唱が素晴らしい。ただし最高音が平べったくなるのが残念(このあたりがひとつの境目なのかもしれません)。ともあれ、華やかなモーツァルトの音楽を堪能できました。

後半のハイドン交響曲第103番「太鼓連打」。
冒頭にティンパニの連打(楽譜上は16分音符)が入るのでこの愛称で呼ばれているそうですが(英語では “Drumroll”)、直訳のこの和名はチープな印象。もっとセンスのあるネーミングはできなかったのだろうか?と音楽以外のところで考え込んでしまいます。

それはさておき、この演奏では2セットのティンパニを上手と下手に配置し、交互に演奏するという演出がなされていて、ハッとする楽しさがありました。これは俯瞰で見たかった!しかしこのハイドンマラソンは1階席のみの販売で2階以上の座席は販売なしなのです。残念。

冒頭のファゴットと低弦で奏でられる、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」に似た主題がキャッチー。一瞬おどろおどろしいのですが、すぐに長調に転じるのも面白い。しかしハイドンは100曲以上も交響曲を作曲して、よくぞアイデアが尽きなかったものだと感心したりもしました。凡人だと、書いているうちに「あれ、これ前に書いたのと同じやん?」とかなってしまいそうです(笑)

センチュリーと飯森マエストロの演奏は盤石。美しく、生き生きとした音楽を楽しめました。
なお、このハイドンマラソンはレコーディングも兼ねており、舞台には録音用のマイクが配置されていました。これがなかなかにプレッシャーで——実は途中で咳が出そうになったのですが、録音に傷を残してはならぬと必死で堪えたのでした。入らないだろうし、入っても消せるのでしょうが‥。

というようなことを書き連ねてみましたが——いやーしかし、ハイドンの音楽について感想を書くのは難しい!予想はしていましたが、今実感しています。聴けてないところが多いのはわかっているので、無理にひねり出すこともせず、この辺りで終わりにします。

◇アンコール
モーツァルト:歌劇「魔笛」より 二重唱「愛を知る男の人たちは」
コジ、フィガロ、ドン・ジョヴァンニと来たら「魔笛」ですね。期待していました!

◇座席
1階通路すぐ後ろの下手側

タイトルとURLをコピーしました