2024年5月14日(火)METライブビューイング「ロメオとジュリエット」

11時10分開演 kino cinema 神戸国際

今期3回目のMETライブビューイング鑑賞。
他に平日に済ませたい用事もあったため、年休を取って観に行ってきました。

と、実は「ムビチケ」が1枚残っていたので、今期の残り3作品「ロメジュリ」「つばめ」「蝶々夫人」のうちどれかには行かねばならず、であれば、まだ観たことのない「ロメジュリ」にしよう!ということで出掛けたのでした。

METらしい、華やかで歌手の層も厚い素晴らしいプロダクション、堪能しました。
時代設定は18世紀(演出家バートレット・シャー氏は「フェリーニの『カサノヴァ』が大好き」とのこと)、オーソドックスな演出でヨーロッパ貴族の衣裳も豪華。舞台もその時代の貴族の館で、大がかりな転換もなく、落ち着いて演唱を楽しめるものでした。

題名役の二人、ロメオのフランス人テノール、ベンジャマン・ベルナイル氏は真っすぐに伸びる澄んだ声。ジュリエットのネイディーン・シエラ氏は近年METへの出演も多いアメリカ人のソプラノで、よく通る高音、コロラトゥーラの技術はもちろん、幕を追うごとに調子を上げていったそのスタミナにも驚嘆。二人の声の相性もよく、二重唱も美しい響きでした。

脇を固める歌手も素晴らしく、マキューシオ(ウィル・リバーマン)の力強いバリトン、ローラン神父(アルフレッド・ウォーカー)と乳母の味のある佇まいと演唱、小姓のズボン役ステファーノ(サマンサ・ハンキー)の華やかな歌唱とルックスにも惚れ惚れ。

また、さすがMET!と思ったのは決闘シーンの殺陣。腰の入らない殺陣にガックリきて「これはオペラなんで仕方ない」と思ってしまうのが鑑賞の常だったりするのですが、この決闘シーンの動きと剣さばきは見事!マキューシオとティバルト、ともに黒人歌手でしたが、運動神経の良さをも感じました。

そして、今回耳を奪われたのはオーケストラ。序盤の分厚く輝かしい響きは圧倒的。また、アリアや重唱の場面でも、歌手の対旋律を奏でる楽器もまた美しい「歌」なのです。グノーの音楽の素晴らしさもありますが、こんなに歌唱と器楽が引き立て合うオペラの演奏は初めて聴いたように思いました。

指揮はMET音楽監督のネゼ=セガン氏。
ネゼ=セガンにハズレなし! 現在(勝手に)全幅の信頼を置いている指揮者のひとりです。
6月のMET来日公演、奮発してチケットを買っているのですが、ますます楽しみになりました。

と、満足度の高いオペラでしたが・・少々気になったのは、ロメオのベルナイム氏の立ち姿。やや猫背の舞台人らしからぬ佇まいなのです。お疲れ気味のロメオ様。スラリと長身なだけに勿体ない——ドン・ホセが似合うかも?と思ったり。あとジュリエットももうちょっと美人だったらなぁ。スタイルはよいのだけれど。「没入」に一歩及ばない要因ではありました。昨今要求レベルは高くなる一方、スミマセン。

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