2024年5月31日(金)山田和樹指揮/モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 京都公演 ピアノ 藤田真央

18時30分開演 ロームシアター京都 メインホール

先週土曜日に続き、別プログラム公演を観賞。

ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、ラヴェルのピアノ協奏曲、サン=サーンスの交響曲第3番という、オール・フレンチ・プログラム。

あいにくの雨天。
2階席でもほぼ直接音しか届いてこない残響の少ないホール。
そのため芸文で聴いた時のようなキラキラ感は少なく、また「牧神」のまどろみの世界を堪能するには物足りない音響ではありましたが、明瞭な輪郭の音色で、このオーケストラはやはり上手いと感じました。

このツアーで初出し、真央さんのラヴェルのコンチェルト。
予習で色々なピアニストの演奏を聴いた結論として「これはジャズだと思って聴いた方がよいのではないか?」との考えを持って鑑賞に臨んだのですが——冒頭のチャーミングなグリッサンドで既に持って行かれてしまい、ジャズだとかそんな分類はどこかに消し飛ぶ「藤田真央のラヴェル」でした。

白眉はなんといっても2楽章アダージョ。
ピアノが伴奏に回り、コーラングレが歌う——テクニック的には平易と思われる素朴で単調な音楽なのですが、これを超集中で聴かせる演奏技術とは何なのでしょう?永遠に聴いていたいと感じる素晴らしさでした。

一転、3楽章の急速なヴィルトゥオーゾ。わぁ凄い凄い!と思っているうち、瞬時に終わってしまいました。短すぎるー!

アンコールはグリーグの抒情小曲集から「愛の歌」。
これを聴くのは3回目。極上の粒立ちの素晴らしい演奏ではありましたが、3分に満たない短い曲で、終わってすぐに客電が灯されました。それでも拍手は続きましたが、オケが立ちあがったので客席は諦め。

雨天による湿気でピアノの音は飛びにくい上、助けてくれない響きの乏しいホール。そこをなんとか美しく響かせるために、かなり消耗されたのではないかな、と後になって推測しました。もしくは、長く弾きたいという気分になれなかったとか。

休憩後はサン=サーンスの3番。
マエストロはこの曲も暗譜。各主題が明確に表現され、聴き応えある演奏でしたが、総花的でなんだかまとまりがない音楽に感じられて——何故だろう?と昨日一日考えていましたが——生で聴くのは4回目のこの作品、過去ブログを見返したところ、いずれも「パイプオルガンに圧倒された」と書いていました。なるほど「オルガン付き」のタイトル通り、この作品の主役はやはりパイプオルガンであり、パイプオルガンのないホールで演奏されたため、音質音量ともに不足していた、ということなのだと合点しました(気づくのが遅い)。

よい演奏であったのは間違いないのですが、客席は初日兵庫公演ほどの盛り上がりはなく、一般参賀、オケ団員の再登場もないままの終演(オケは終演直後に客席に向かって手を振り&客席からも振り返し、はありました)。

演奏終了後に客席全体に漂う空気——観客のほぼ一致した感想が声に出さずとも共有され、行動(Bravoの有無、拍手時間の長さ)に反映される——それが演奏会の面白いところでもあります。

ロームの主催公演で、ネーミング・ライツ上この会場を使わざるを得ないのは残念。
観客としては、せめて京都コンサートホール、できればシンフォニーホールで聴きたかったプログラムでした。

 

◇ソリスト・アンコール
グリーグ:抒情小曲集第3集「愛の歌」Op.43-5

◇オーケストラ・アンコール
シュレーカー:舞踏劇「ロココ」より第3番「マドリガル」 きらびやかな織物を思わせる複雑かつ魅惑的な和声進行にすっかり魅了されました。

ビゼー:「アルルの女」第2組曲より第4曲「ファランドール」

プロヴァンス太鼓がないのにファランドールが始まり、え?と思っていたら、1階客席扉からの登場でした(笑)

◇座席
2階最前列下手側

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