15時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
昨年に続き、こちらのジルヴェスター・コンサートで今年の演奏会納めとしました。
今回は、来年が開館20周年ということで、29日から31日までの3日間のスペシャル演奏会。ゲストに迎えたピアニスト角野隼斗(かてぃん)さんの人気で、3日分すべてのチケットが数分で売り切れたとのこと。と、私もそのかてぃんくん目当てのひとりでありました(笑)
ということで、「ラプソディ・イン・ブルー」以外の曲目を認識せずに会場に赴き、第一部がワーグナー特集であることを初めて知りました。来年のオペラが芸文センター初のワーグナー作品「さまよえるオランダ人」で、それに因んだプログラムであるとのこと。これはちょっと(かなり)嬉しかったです。しかも合唱付き。オランダ人の水夫の合唱の迫力は素晴らしく、来年の公演への期待が高まりました。
第二部はスーパーキッズオーケストラによる演奏が2曲。弦楽器のみの立奏で、1曲目の「フィドル・ファドル」は、大きく揺れたりターンしたりの振り付き。サブリナ丈のパンツスーツも可愛らしく、生き生きとしていて、それになにより音色に透明感があって上手い!しかし、佐渡さんによると、「将来演奏家になる子だけではなく、医者になる子もいる。皆、頭いいんです」——これは東大出身の角野さんにリンクさせた話のようでもありました。
と、話が少々外れましたが、2曲目はその角野さんも加わり、ショパンのピアノ協奏曲第1番の2楽章。角野さんの繊細なピアノとSKOの透明感の相性もよく、清々しい演奏でした。
続いては、角野さんのオリジナル曲にバレリーナ中村祥子さんの舞踊が加わった「胎動」。何かの始まりをイメージしてのネーミングとのことでしたが、ショパンのエチュードOp.10-1によく似たアルペジオの上下行が印象的な作品。演奏後、中村さんと手をつなぎ、バレエのステップに合わせて前進後退、少々照れくさそうにお辞儀されていたのがチャーミングでしたが、これはピアノ以上に練習されたとのこと(笑)。
さて、締めくくりは楽しみにしていた「ラプソディ・イン・ブルー」。これはもう流石。カデンツァでは鍵盤ハーモニカが登場。ニューヨークを拠点に活動されているだけあって、本場のジャズの息吹を感じるものでした。特に後半のカデンツァでの鍵盤ハーモニカは、ブルージーなカッコ良さ。角野さんでしか成し得ない唯一無二のパフォーマンス、堪能させていただきました。
サービス精神旺盛な佐渡さん、第三部と言ってもよい尺でのアンコールは聴衆参加型のてんこ盛り。
「ラデツキー行進曲」に続き、このホールのテーマソングでもある「すみれの花咲く頃」に「六甲おろし」を切れ目なくつなげての演奏。最後は、開演前に合唱練習のあった「威風堂々」。配布楽譜の1オクターブ上で気持ちよく歌わせていただきました。
アンコール時は、プロデュースオペラ合唱団の方が歌のガイドとして客席通路に並んでの歌唱で、これはコロナ禍の頃には考えられなかったなぁ、と、同行の夫と話しながらホールを後にしました。そういえば、2年前の大晦日にはびわ湖ホールで合唱スカスカ状態の「カルミナ・ブラーナ」を歌ったのでした。コロナもすっかり過去の記憶になっています。
◇座席
2階上手側バルコニー
前述のチケット争奪戦により、狙った席はまったく手に入らず(発売の10時きっかりに入ったのに)少々不本意な席。後ろに荷物が置けるのは良いけれど、上手側がやや切れる視界と3階席が被っているため籠りがちな音響が残念。