2022年12月3日(土)クリスティアン・ティーレマン指揮/ベルリン国立歌劇場管弦楽団

17時開演 ザ・シンフォニーホール

当初予定されていた音楽監督のバレンボイム氏が体調不良により降板、ティーレマン氏が代演となったシュターツカペレベルリンの来日公演。

実はティーレマンに代わったので、行く気になった演奏会でした。
3年前のウィーンフィルの来日公演にも行きましたが、またこうして生でその指揮に接することができるとは!ステージに現れたときには「あぁ、ティーレマンだ!」と嬉しくなりました。

ブラームスの交響曲は好きがゆえに落胆したくないので、実演を聴くことは避けているのですが、これは最高レベルの演奏であるに違いない!(そうでなければ困る)と思える組み合わせ。行かないわけにはいかない演奏会でもありました(笑)。

明るい2番の後に重厚な1番というプログラムにも納得。

2番の冒頭ホルンに続く弦の主題が現れたとき、その冷気を感じる透明感に、ドイツのオーケストラの音色を感じました。この秋、ロンドン響、パリ管と聴いてきて、オケの音色にもそれぞれ特色があることを実感しました。贅沢な体験です・・。

フルートの小鳥のさえずりにハッとし、アルプスの山の奥から聞こえてくるような金管の音色に遠近感を感じ、これは「標題音楽」なのだと感じました。
ちなみにオケは対向配置。2ndヴァイオリン、ヴィオラの内声がよく聴こえ、楽曲の構成がよく分かり発見も多い演奏。艶やかな弦を始め、うっとりとする美しさで途中涙が滲む名演でした。

後半の1番の冒頭、ティンパニよりわずかに早く鳴ったコントラバスに思わず身を乗り出してしまったのですが、これが北ドイツの伝統なのだという話を思い出しました。低弦やコントラファゴットの低音がよく鳴る演奏に納得。

「ティーレマン好き」は、ベルリンフィル・デジタルコンサートホールのトレイルでこのブラームスの交響曲第一番が素晴らしかったことから始まったのですが、その後同サイトで「ドイツ・レイクエム」、次にウィーンフィルのニューイヤーコンサート、そして実演の来日公演、と、どの演奏でも密度の高い響きと透明感が素晴らしく、非常に心を掴まれるものがありました。

そして、この1番を聴きながら途中で気づいたのが「テンポ感」。ティーレマンの繰り出すテンポは各楽章の全体を通して、また途中のアゴーギクも含めとても心地よい。4楽章の終盤の音量もたっぷりの堂々とした金管のコラールには、「そう、これなんです!私の聴きたかったブラームスは!」と声に出して言いたいくらいでした。それ以降の怒涛のアッチェレランドのフィナーレに大感激!あぁこの演奏が聴けて本当に良かった!

テンポに関しては人それぞれの好みであり、言ってみれば「相性」かと思います。音楽を聴いて最もわかりやすいのがテンポの違いなので、初心者的アプローチではありますが、そのテンポに共感できるのが好きな指揮者、ということになるのかな、と改めて認識した演奏でもありました。

これだけの演奏を聴けたのだから、ブラームスの1番、2番の実演鑑賞は「封印」としたいところですが・・ちょっと残念だったのが金管。冒頭不調だったトロンボーンは後半調子がよくなったのですが、トランペットは最後まで荒っぽかった。うーん・・ということで、できればウィーンフィルかベルリンフィルで、ティーレマンでもう一度聴きたい、と思ってしまったのでした。

◇アンコール なし(正解!)

◇座席
1階Q列下手側。
ティーレマン代演を知って、よし買おう!と思った矢先、友達が行けそうにないので、ということで譲ってくれた席でした。
通路から5席目でしたが、前列客の頭の隙間でちょうど視界が開ける良席。直接音もよく聴こえて、この席は今後の選択肢のひとつです。ちなみにポツポツと空席が見える程度のほぼ満席。客席の雑音が極めて少なく、この良好な鑑賞環境もチケット代に含まれるのかと思いました(笑)

◇その他
開演前に主催者が登場、バレンボイムの指名を受けてティーレマンが代演となったことなどを説明。そして、コロナの折り出待ちは遠慮願うが、代わりにカーテンコール時に写真撮影可、SNSに上げてよし、とのこと。最近これが増えたのは、そういうことだったのですね!ということでパチリ!

オルガン席にも返礼があったのは、ラトル/LSOと同じですが、ここに座る客の写真撮影のためでもあったのだとこの写真を見て気づきました(笑)

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