19時開演 フェスティバルホール
久し振りの大フィル定期。
目当てはもちろん、ブルックナー。
昨年のブルックナー・イヤーに唯一聴けていなかった、4番「ロマンティック」。
年は跨いでしまいましたが、やっとコンプリートできました。
尾高マエストロと大フィルで、0~2番、6番、9番を聴きましたが、それらの演奏から想像していた通り、全曲通して「ジェントル」な演奏でした。
ミュンヘン・フィルやバイエルン放送響で聴いたような肉厚の響きではなく——それらをステーキとするなら、サラダのような‥というと些か失礼かもしれませんが、ともかく、くどさのないあっさりとした印象。冒頭のホルンは霧のかかった森の奥から響いてくるような素晴らしいものだったのですが、その後の演奏を聴いていると、森よりも草原、そこを吹き抜けていく風、といったイメージが湧いてきました。
アンサンブルの整った、破綻のない美しい演奏。これはこれでよいとは思ったのですが——でもやっぱり私は肉厚ステーキの方が好みかなぁと。
前半に置かれたのは、松村禎三の「管弦楽のための前奏曲」。
作曲当時の1950年代後半の主流であった、十二音音楽に背を向け、アジアにモチーフを見出した作品とのことで、雅楽やガムラン音楽などを連想する作品。ピッコロが6本(中間部でフルートに持ち替え)も登場する珍しい光景でもありましたが、この徐々に重なり合うピッコロ、予習でヘッドホンで聴いていると、顔の周りを複数の蚊が飛んでいるような感覚になり、聴いていられなくなって途中で止めました(笑)。ホールで聴いているとそんなことはなかったのですが——「興味深い」という感想に留めます。
ところで、この日の演奏前に、1月26日に亡くなられた秋山和慶マエストロへの献奏が行われました。エルガー「エニグマ変奏曲」の「ニムロッド」。
実は、去る2月3日、シンフォニーホールで行われていた記帳にも行ってきたのですが、急に亡くなられたのが未だ信じられず、受け入れがたく‥そういえば10年前に「カルミナ・ブラーナ」を振っていただいたのもこのホールだったなぁ、などと思い出したりしているうち堪え切れず落涙。
秋山マエストロは、近年ではセンチュリーで多く聴いていましたが、いつでも聴けるように思っていた自分がいました。それはマエストロの望むところだったのかもしれませんが——でももうその演奏は聴けないし、お姿も見ることができない。悲しいです。こんなことは書きたくないですが——ご冥福をお祈りしたいと思います。
◇座席
2階6列目。電話で頼んだ席でしたが、遠慮してC席にしていました。