2025年8月3日(日) 生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会 モーリス・ラヴェル特集

15時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

猛暑の日々、コンサートホールは巨大な「クール・スポット」。昨日に続き、冷房の効いた大容積空間を3階席から眺めつつ音楽を聴く贅沢を味わってきました。

ちなみに「のだめカンタービレ」はコミック、映画、ドラマのいずれも見たことがなく(どのような話なのか凡そ知ってはいますが)、この日のラヴェルのプログラムに惹かれて行ってきたものです。

そのプログラムとは、ラヴェルの作品のうち、ピアノ版と管弦楽版がある何曲かをピアノとオーケストラで順に演奏する、というもの。かなりそそられる趣向です。TV番組で同様の企画があるかもしれませんが、生で、カットなしでそれを聴けるのは貴重な機会。ということで、実は前日まで迷っていたのですが、えいっと行ってきました。

元N響オーボエ首席で指揮者の茂木大輔氏企画の「のだめカンタービレ」演奏会はこれが20回目とのこと。夏休み期間中に行われることから、いわゆる「ファミリー・コンサート」で親子連れが多いのだろうと思っていましたが、意外にも年配夫婦や女子友人連れが多く、浮いてしまうかも?との懸念は杞憂に終わりました。

オーケストラは関フィル、ピアニストは高橋多佳子さんと三原未紗子さん。
冒頭に三原さんのソロで「道化師の朝の歌」。その後、「亡き王女のためのパヴァーヌ」をピアノ→オーケストラで聴き比べ、続いて「マ・メール・ロワ」から「眠れる森の美女のパヴァーヌ」、「美女と野獣の対話」、「パゴダの女王レドロネット」をそれぞれピアノ連弾→オーケストラで。

ピアノ、オーケストラそれぞれの魅力。しかし、オーケストラの多様な音色、和声により提示される色彩豊かできらびやかな世界には陶然とさせられるものがあります。

演奏の前後に入る茂木マエストロの解説が大変わかりやすく、また舞台背面に大きなスクリーンが用意され、演奏中の曲名のほか解説や演奏者の名前の表示まであり、これは鑑賞の助けになりました。これ、通常のクラシック・コンサートの際にもあったらいいのに(特に交響詩など)と思うのですが、費用も掛かるし、アカデミックでなくなる? まぁ実現することはないのでしょう。

と、このあとに演奏されたピアノ協奏曲では、それにまつわる漫画の場面のカットが映し出されたのですが、これは漫画に思い入れがないもので若干ノイズではありました。だったらこの演奏会に来るな、という話ですが(笑)。

ピアノ・ソロの三原未紗子さんは、この作品を留学先で勉強していたものの、披露するのは今回が初めてだったとのことで、演奏後のトークでは「感無量」と声を詰まらせておられました。ピアニストの素の姿に触れた思い。そして、「のだめ」は留学中の「心の支え」であったとも。オペラの予習以外で漫画を読む習慣を持っていない私ですが(家の中で嵩張るのがその大きな理由)、これは読んでみるべき——。

休憩後は「展覧会の絵」。
この作品にまつわる解説やクイズコーナー(ピアノ版で冒頭部分を演奏した後、ここを演奏する楽器は何かを当てる)などがあった後、全曲の演奏。

解説で触れられた、この編曲をラヴェルに依頼したのはクーセヴィツキーであったこと、そしてラヴェルが編曲時に見ていた楽譜はムソルグスキーの原典版ではなく、リムスキー=コルサコフによる改訂版であった、というのは新しい知識でした。

アンコールは「マ・メール・ロワ」の終曲「妖精の園」をオーケストラで。幸福感に満ちた素晴らしい演奏でした(終結部のハープ グリッサンドがもっと聞こえたらなお良し)。

終演は18時ちょうど。ちょっと長かった?いえいえ有意義かつ充実のひとときでありました。

◇座席
3階3列目下手側。視界も音響もよし。

 

 

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