2021年12月11日(土)大友直人指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団「第九」特別演奏会

14時30分開演 ザ・シンフォニーホール

今年は登壇しなかった関フィルの第九。合唱団を客観的に見ることも必要かと思い、足を運びました。

感動の第九でした。

当初指揮者はアルメニア出身のマルディロシアン氏でしたが、オミクロン株に伴う政府の措置で来日不可となり、急遽大友直人氏に変更になったのですが・・

いやしかし、大友マエストロでよかった!と思いました。

申し訳ないですが、実はそんなに期待せずに行ったのですーー前述のように、目的は今後の勉強のためであり、また「サボっておいて聴きにすら行かないのはどうなの?」といった思いからでもありました。なので、感動するとは思ってもいなかったのです(すみません 笑)

第1楽章冒頭から第4楽章のフィナーレまで終始速めのテンポ設定で、途中オケがついて来れるのかと思うほどの箇所もありましたが(勿論ついてきてました)、それが先へ先へと明るい未来に向かって突き進んでいくかのような一貫したメッセージ性があり、オーケストラから立ち上がってくる音も整然とまとまった美しさがありました。

ソリストが豪華で、S並河寿美さん、Ms福原寿美枝さん、T藤田卓也さん、Br与那城敬さん。
与那城さんは佇まいからして、民衆を率いる若き将軍、英雄のようでした。冒頭のソロは若干速めでーー私は最後の”vollere!”はもっとゆっくりと置きにいく感じが好きなのですがーーそれまでの全体のテンポとのバランスとしては正解だったのかと思います。少々残念だったのは並河さん。高音が無理やり押し上げるような発声になっていて、「メリー・ウィドー」楽日以来近頃あまり調子が良くないのかと気がかりになってしまいました。

ところで、ソリストとオケとの間はかなり距離がとってあり、透明パーティションも置いてありましたが、4名ともマウスシールドをつけての歌唱。うーん、これはやりすぎ?もしくはただのパフォーマンスのようにも思えました。コロナ禍も2年近くになり、これまでの検証で飛沫の拡散範囲も明確になり、またマウスシールドに感染防止効果は殆どないといわれているのに、非科学的で無駄な予防措置だと感じました。だけど見せかけでも「やっている感」が必要なのでしょう・・ここは日本ですから。

合唱はもちろんマスクでの歌唱でした。前回までは臙脂色の布マスクでしたが、今回は白の不織布マスクに変わっていました。

最初に合唱が始まったときにはマスクのことが念頭から消えていて、「あれ、ものすごく柔らかい響きだな」と思ったのですが、次の瞬間「そうか、マスク!」と思い出したのでした(笑)

しかし、マスクに遮られながらも音量が小さすぎることもなくよく響いていました。舞台奥とオルガン席の両方を使っての広がった配置はもちろん感染予防のためではありますが、副次的に音量の分散という物理的な効果と、視覚的にも音量が増して聴こえる効果があったと思います。ソプラノの高音もよく出ていて、改めて上手い合唱団だなと思った次第です。自分は出ていないので手前味噌ではないです (笑)

オケが弦12型の小ぶりであったので(これが本来だと思いますが)、合唱とオケとの音量バランスもよく、統率感のある演奏でもありました。
冒頭に感じた推進力も最後まで失われることなく、フィナーレまで美しく盛り上がって終演。清々しい感動で胸がいっぱいになりました。これはやはり大友マエストロの手腕であったと思います。本来なら「Bravo!」と叫びたい方も大勢おられたことでしょう。客席の拍手は長く続きました。

◇座席
2階席正面のGG列(後ろから2列目)。全体を俯瞰して見て聴くにはやはりこの席が最適。A席。(センチュリー定期ではここがC席なのは良心的だと改めて思いました)

◇その他
学んだこと。歌っている最中にずれてきたマスクを直すのは見た目よろしくない。こちらも動くものがあれば本能的にそちらを見てしまうので客の集中力低下にもつながると感じました。まずはずれてこない工夫が必要だし、直すならせめて歌っていない場面で。

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