2021年12月21日(火)沼尻竜典指揮/九州交響楽団西宮公演

19時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

文化庁の事業「オーケストラ・キャラバン」の一環として開催されたチャイコフスキープログラムによる九響の遠征公演。九響を聴くのは初めて、沼尻さんでチャイコフスキーを聴くのも初めて、ついでに沼尻さんを芸文で観るのも初めて、という初めて尽くしのコンサートでもありました。

「くるみ割り人形」から始まり、ヴァイオリン・コンチェルト、そして交響曲第4番の「名曲プログラム」によるこの公演は、少し早いクリスマス・プレゼントみたい!と思ってかなり楽しみにして出掛けたのですが・・意外と「引いて」鑑賞してしまったな、というのが正直な感想。

原因はハッキリとしていて、ヴァイオリン神尾真由子さんの演奏に少なからずガッカリしてしまったから。

名演が冒頭すぐにそれだと感じるのと同様に、そうでない場合もほぼ数秒の印象で決まってしまうものなのですね。

「ザ、ザ」とした若干雑味の混じる音色とステージの前あたりに籠って飛んでこない響き。その後の超絶技巧のトップの高音が殆ど当たらない。うーむ・・。何度も生で聴いたこの作品はかなりの難曲であるのだと初めて感じた演奏でした。マユコ先生、どうしちゃったのでしょう?アンコールの「魔王」カプリースを聴きながら、これと似た残念な思いを昨年のウィーンフィルのチェロ独奏で抱いたな、と思い出してしまいました。

さて、休憩後は気分を入れ替えて交響曲第4番。
これは、九響は熱い!ということを実感できる演奏でした。沼尻マエストロの非常に分かり易い指揮に熱く応えるオーケストラ。相性が良さそうだと感じました。

しかし、前半コンチェルトよりアラ探しの旅に出てしまった我が耳は、字余りの如くフレーズの後ろにはみ出る木管の音などをつい拾ってしまい・・チャイコフスキーの劇的な音楽に浸ることはできず、その音楽から想起するものもあまりないままに終わってしまいました。

そんな演奏会もたまにはあります。残念。

◇ソリスト・アンコール:エルンスト「シューベルトの『魔王』による大奇想曲」
◇オーケストラ・アンコール:チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」よりワルツ

◇座席
2階正面2列目上手側
2階の縦方向の通路前の一段高く設えてある手すり(落下防護柵)がかなり目障り。
同じ設計事務所(日建設計)で7年後に竣工したフェスティバルホールでは、この部分が折りたたんで低くできるように造られており(大フィル定期でスタッフが開演前にたたんでいるのを「巧くできているな」といつも感心して見ています)、芸文センターでの反省が活かされているのかと思った次第です。

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