2020年12月5日(土)京都市交響楽団クリスマスコンサート

草津クレアホール 14時30分開演

先月14日の「マタイ受難曲」時に受け取ったチラシで知ったコンサート。

大津のびわ湖ホールよりさらに足を延ばして、南草津まで出掛けてきました。

沼尻マエストロがトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアでモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き振りされている定期演奏会、一度行ってみたいと思っていたのですが、同趣向のコンサートがこちらでも行われると知り、東京に行くより近い!ということで出掛けました。

期待した以上に「ヌマジリアン」の私にとって大満足のコンサートでした。

まず、開演前にマエストロがマイクを持って登場、春風亭小朝師匠も認める(笑)いつもの「江戸噺家」口調でのプレトーク。プログラムが曲目と出演者のプロフィール掲載のみの簡素なものだったこともあるのか、それを補う形で楽曲紹介をしてくださいました。

シューベルト「未完成」が昔は交響曲第8番だったがその後の研究で7番になったことーー「自分は『8番』と覚えていたが、年齢がバレるので、気を付けて『7番』と言うようにしている」(←私も「8番」世代、「未完成」の語感には「8」の数字の方が相性がいいような感覚があります)ーーとか、モーツァルト最後の交響曲の「ジュピター音型」(音型を歌ってくださっての説明でわかりやすい)は、実は第1番(8歳の作品!)で既に使われているもので、無意識に死期を感じていたのか?など、簡潔に説明してくださいました。

「未完成交響曲」、以前に比べて演奏機会が減っているのか、プログラムで見掛けるのも実際に聴くのもとても久し振りでした。なんだかこの曲は、覗いてはいけない深い淵を覗き込まされているようなゾクっとした感覚がするのです。そしてよく言われるように、2楽章までで十分な気もするものの、その先を知りたいような・・と思うと31歳というシューベルトの短すぎる人生を考えてしまうのです。

このホールは音楽専用ホールではなく、700席ほどの小規模の市民会館といった感じ。舞台の天井も低く、後ろに向かってさらに低くなっているので、とりわけティンパニーの音が平らな「ぺしゃん」とした響きになっていて少々残念。このホールで演奏するには、このプログラムがぎりぎり上演できる規模だったのだと納得しました。

続いてのモーツァルト「ロンドK.382」。

27曲あるモーツァルトのピアノ・コンチェルトのあとに続く、28番とも言われる作品(マエストロ談)。

プレトークで、「(クリスマスコンサートと銘打ってあるものの)このプログラム、ぜんぜん『クリスマス』ではないじゃないか!(笑)ということで、お楽しみをご用意しています」とマエストロが仰った、その「お楽しみ」がこの曲の途中に用意されていました。

マエストロのピアノ即興演奏による「クリスマスソングメドレー」。

ピアノ・ソロ部分(カデンツァ?)の途中で、「ジングル・ベル」。舞台袖からサンタの扮装のスタッフが登場♪ それで終わりかと思ったら、続いて「きよしこの夜」、「ホワイト・クリスマス」。一瞬でラグジュアリーホテルのラウンジにいるかような感覚に陥った、Jazzyなアレンジにうっとりとしてしまいました。次々思い浮かぶフレーズを指先で音楽にされているのか、途中「ラ・カンパネラ」を奏で始め(クリスマスの教会の鐘を連想しました)客席に「おぉ」といった期待の雰囲気が瞬間漲ったのですが、「ん?これは違うかな?(笑)」という感じで「もろびとこぞりて」。

そして「もういくつ寝るとお正月・・」のメロディを弾かれて客席の笑いを取ったところで、これが合図だったのでしょう、またモーツァルトの軽やかで愛らしい音楽に戻っていきました。

これを聴けただけで草津まで出掛けた甲斐がありました(笑)

一方で、こんな風に自由に思うまま音楽が奏でられたらどんなに楽しいことだろう、とか、「音楽の神さまに愛されている」とはこういうことか、など終わってからいろいろ考えてしまいました。

この印象が強すぎて、ジュピターの感想がほとんど消し飛んでしまい(笑)、一週間経ってしまった今、「ジュピター」の具体的な感想は書けずにいます・・

◇座席
ローチケで購入したため座席指定ができず。R列(18列目)の下手側。プレトーク時、マエストロの立ち位置がちょうど正面になったので嬉しかった(笑)
残響の少ないホールは、客席のガザゴソが気にならないという利点があることを認識。「携帯電話抑止装置」がなく、演奏中に着信音が鳴ったのには苦笑(諦め)。

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