19時開演 ザ・シンフォニーホール
センチュリー、クリスマスの日の定期演奏会。
ソリストに亀井聖矢さんを迎えた完売の公演でした。
ブラームス交響曲第3番とピアノ協奏曲第2番というプログラム。4楽章構成で演奏時間が約50分と長い協奏曲が後に演奏されました。
ブラームス2番、亀井さんはこの日が初出し。近年若手ソリストの起用が多いセンチュリーは初出しの伴奏が多く、ここ2年ほどの間で、反田さんのブラームス1番、務川さんのラフマニノフ3番、それに先日のラヴェルもそうでした。ピアニストにとっても、いきなりサントリーなどではなく、まず大阪あたりで腕試しをする方が気が楽なのかも?と思ったりします。
ブラームスのピアノ協奏曲は、重厚かつ超絶技巧が多く、いくつかの演奏を予習で聴きましたが、1楽章のカデンツァなどあまりの複雑さに笑いが込み上げてくるほどでした。しかし亀井さんの演奏は、その超絶箇所がどこであったのかわからないくらい、まったく複雑さを感じさせないものでした。テクニックの確かさ、大きな手と長い指で余裕で紡がれるピアノに、こちらも大船に乗ったかのような安心感で演奏を堪能。また、低音部の音量が凄まじく、低く轟く音を耳にして、オケにバス・トロンボーンかテューバが入っていたのかどうか見て確かめてしまったほどでした(もちろん入っていません)。
パッセージを強音で弾き切った後に、左手を大きく上げるのがやや大仰(ラン・ランみたい笑)な印象で、彼のキャラクターに沿ったものであるのかどうかも疑問でしたが、この辺りは模索中なのかもしれません。また、ブラームスの「歌」の部分がもう少し美音であったなら、とも思いましたが、ここまで余裕で弾き切ることができることにまず感嘆。
アンコール1曲目はショパンのノクターン。しかし、ブラームスに酷使されたピアノは調律が乱れていたのか、高音が粘った音に聞こえ——やはり亀井さんの個性はショパンではないような気がしてしまいました。クリスマス・プレゼント?大サービスの2曲目アンコール。リスト「ラ・カンパネラ」、十八番のこちらは粒立ちの煌めきも美しく、手の内に入り切った素晴らしい演奏でした。
後先になりましたが、前半のブラームス交響曲第3番。秋山マエストロとセンチュリーにぴったりとくる選曲です。弦は12-10-8-8-6と低弦を厚くしてあり(後半の協奏曲も同様)、ブラームスの美しくも分厚い弦の響きが楽しめました。やはりメロディアスな3楽章には心を掴まれます。木管類が頭の不揃いなどやや不調に感じられたのですが、演奏会続きの年末、この日に限ったことであってほしいと思っています。
◇ソリスト・アンコール
ショパン:2つの夜想曲 Op.27-2
リスト:ラ・カンパネラ