19時開演 ザ・シンフォニーホール
季節の進みが殊に早く感じられる今年ですが、先月の定期「フィデリオ」からあっという間の1ヶ月で、今回は秋山マエストロによる、ブルックナー4番「ロマンティック」。
同じ楽曲でも指揮者が違えばこれほどまでに印象が変わるものなのか、と認識を新たにした今回の演奏会。9月末の関西フィル定期が急遽この曲に差し代わり、鑑賞した際の記事には「どこが『ロマンティック』なのかわからない」と書きました。が、はい、ブルックナー先生ゴメンナサイ!
アルプスの山々が青空に映え、くっきりと稜線を浮かび上がらせている、そんな光景が目に浮かぶような透明感あふれる清冽なオーケストラの響き。そうだ、これなんだ、という納得性と求めていたものが得られたような幸福を感じる、そんな演奏でした。
楽器の入りが乱れるようなことは決してなく、ないであろうことは秋山マエストロの明晰かつ美しい所作の指揮を拝見していれば自明のことで、そこから得られる安心感をオケ奏者の方々と共有しているような感覚ーー平たく言えば「安心して聴いていられる」ということなのですがーーそんなの当たり前じゃないか!と書いていても思うのですが、いえ、でも「感動」の前提としてまず必要なのはこの「安心感」なのです。
演奏開始前に望月楽団長からクラウドファンディングの目標額達成への謝辞と更なる増額への依頼があったのですが、このコロナ禍以降の一層の苦境の中でも、これだけの演奏を聴かせてくれることに謝意と敬意を持つとともに、飯森範親マエストロに加え今シーズンからは秋山マエストロ、と日本屈指の明晰な指揮者に恵まれている幸運なオーケストラでもあるな、と感じました。
さて、今回の前半はモーツァルトの交響曲39番。ブルックナー4番と同じ「変ホ長調」というカップリングでした。「変ホ長調」には、以前の記事「ニ短調」と同じくらい思い入れのある作品が多いのですが、一般的に言われるのは「英雄の調」。ベートーヴェンの「英雄(エロイカ)」がこの調性であるのは有名です。エロイカを聴いてハッと胸を突かれるのが、第一楽章の金管による「不協和音」ですがーーこれを初めて聴いた時には、その後に続く弦の「ザザザザ・・」という刻みとともに「新しい!」と感じましたーーでもこれ、ベートーヴェンが始めたことではなく、モーツァルトも既にやっていることなのですね。この39番にも使われていて、それらがつながっていっているのだと今回新たに認識しました。
ところでしかし・・
ブル4終わり、複数の「フラ拍手」。
「抹殺」の2文字が頭に浮かびました。
マエストロが手を降ろされるのも若干早かったですが、それより早いとはどういうこと?
とこれ以上書くと罵詈雑言列挙になるのでやめておきます・・
◇座席
2階席5列目下手寄り。
市松配席ではないけれど、客の入りは5割程度で同じ列には私を含めて2人だけでした。後半からはひと席ずれて視界を確保。