16時開演 ザ・シンフォニーホール
ここまで感動するとは思っていませんでした。
関フィル ワーグナー特別演奏会
「神々の黄昏」の幕切れ「ブリュンヒルデの自己犠牲」の演奏があまりに凄すぎて、それに私自身の「びわ湖リング」への思いも重なり、最後は涙ぐんでしまいました。
びわ湖と同じ池田香織さんのブリュンヒルデ、舞台上にいるオーケストラの輝かしく轟々たる響き。聴きながら、この音楽を生で聴くのは実はこの日が初めてだったことに気づき、そして次々と現れるライトモティーフのひとつひとつにそのシーンがよみがえり、「あぁこれで『リング』が完結できる!」と大きな感慨に浸りました。
それにしても、池田香織さん!本当に素晴らしかった。
オーケストラの大音量を凌ぐ高音部の声量は圧倒的、中音部のまろやかで深い響きと子音の美しさ。コンサート形式による演奏で、その歌唱の素晴らしさそのものを堪能することができたようにも思います。
実はこのコンサート、曲目や演奏への期待感よりも、「果たして開催されるのだろうか?」という懸念の方が上回っていたため、このように感動するとは思ってもいなかったのです(ゴメンナサイ!)
飯守泰次郎マエストロ、私にとっては今回が「3度目の正直」。
昨年10月末の「ブルックナー00番、0番」、そして12月の「第九」が入院・手術でそれぞれ代演の指揮者での開催となり、昨年の代演での大フィル定期ブルックナー6番が見納めだったのかも?と案じていたのですが、それは杞憂に終わりました。そのタクトから現れるオーケストラの響きは輝かしく大迫力で、完全復活!でありました。舞台出入りの足元が少々おぼつかない感じで(曲間では出入りせず指揮台に置かれた椅子に座られていました)、腕の振りも大きくはないのですが、やはり奏者の方々のマエストロへのリスペクトが大きいのでしょうか、見事な演奏でした。
バリトンのミヒャエル・クプファー=ラデツキー氏は、2週間の自主隔離を経ての出演。長身で槍を持てばそのままヴォータン!(槍を持って欲しいな、と思って見てました 笑)の存在感。堂々たる歌唱ではありましたが、全体の印象として、観客を前に歌うことからしばらく離れていたのかな、と感じるところもありました。池田香織さんが圧倒的過ぎて、少し霞んでしまったかもしれません。
オーケストラの響きはとにかく華やかで大迫力。金管類、とくにトランペットの輝くばかりの音色には目を瞠ってしまいましたし、ヴァイオリンの音は艶やかというよりも鋭利といった趣きの透明感。それらが一体となり、ワーグナーの持つ音楽の力、私自身の思いも相俟って、これまでにないほどの感動体験でした。
通常だったら「Bravo!」の嵐だったことでしょう。客席の拍手は長く長く続きました。
◇座席
2階席最前列中央下手側。視界良好。私の身長(座高)だと、舞台の先端と2階の手すり上端がちょうど重なり、無駄なく?鑑賞できました。
◇その他
この日はひとりでの鑑賞だったため、思いを分かちあう相手がいない・・と思っていたところ、駅に降りるエレベーターで偶然コンマスのギオルギ・バブアゼさん(ともう一名の奏者の方)と一緒になり、感動をお伝えすることができました。バブアゼさん「やっぱり音楽って素晴らしいですね」。ほんと、そうです!
・・ついでながら「私、関フィル合唱団に入っているので、6月の『スターバト・マーテル』よろしくお願いします!」とアピっておきました(笑)