2021年1月21日(木)飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団第252回定期演奏会

19時開演 ザ・シンフォニーホール

今年最初のセンチュリー定期は、演奏機会の少ない作品とJ.シュトラウスのワルツ・ポルカ作品が組み合わされた「定期演奏会とニューイヤー・コンサートのハイブリッド」といった観の演奏会で、非常に楽しめるものでした。

公演2日前のマエストロのツイートを拝見し、俄然楽しみになったのですが、その文章を引用させていただきます。
「(前略)今回の日本センチュリー交響楽団定期公演はルーマニア、ハンガリーから観光列車でウィーンへ!!皇帝に謁見、シャンパンで乾杯後、狩りに出たら雷雨に遭ってしまい、ドナウ川の辺りで雨宿り…すると、川面が青く…(笑)」

こういうストーリーのあるプログラミング、もうこれだけで心がキュッと持っていかれる感じです(笑)。

「ルーマニア協奏曲」、協奏曲といってもソリストがいるわけではなく、短い交響曲といった感じ。民族音楽を取り入れたこの楽曲は、全体的に明るく快速テンポ。楽器群が束になってかなり速いテンポで進む箇所が多く、これアマチュア・オケだと演奏至難なのだろうな、と思いながら聴きました。というのも、この日のオーダーが古典配置で、ヴァイオリンが二手に分かれ向かいあうこの配置はアマ・オケには難しい、という話を思い出していたからでもあります。ちなみにコントラ・バスが管楽器の後ろ、舞台の最後部中央に来るという珍しい配置でもありました。

続くバルトーク「ヴァイオリン協奏曲第2番」は、プログラム解説によると「20世紀音楽に使われる技法の見本市のような作品」。なので、調性、長調・短調の記載がない。ソロ・ヴァイオリンには半音の更に半音の四分音も使われているとのこと。

四分音を含む演奏は、簡単に例えると「喋るヴァイオリン」。ヴァイオリンで声帯模写をする、あの感じです。昨年9月にびわ湖ホールで聴いたチェロ上村文乃さん演奏の黛敏郎「文楽」もこの技法だったのかな、と思い出しました。
バルトークの暗く深い透明感の漂う曲調は、オペラ「青ひげ公の城」を思い起こさせ、ヴァイオリンを奏でる美しいイザベル・ファウストさんはさながらヒロイン「ユーディット」のようでした。
しかし、喋るヴァイオリンが一体何を語っているのか・・? そこまではわかりませんでした(笑)
なお、この楽曲のコーダ(終結部)、ヴァイオリンは沈黙し金管楽器が鳴る稿と、最後までヴァイオリンが弾き続ける稿の2種類あるとのことですが、今回はヴァイオリンが弾き続ける稿が採用されていました。

そして後半のJ.シュトラウスⅡ世のワルツ・ポルカ集。
これは、本当に、楽しい!の一言でした。
本当によく考えられたプログラムで、「ハンガリー万歳」→「観光列車」→「オーストリアからの挨拶」→「皇帝円舞曲」→「シャンペン・ポルカ」→「狩り」→「雷鳴と電光」→「ドナウのほとりから」→「美しく青きドナウ」
ルーマニアからハンガリーを経てオーストリアへ。東から西へ、中央ヨーロッパへの旅、ですね!
演奏には様々な趣向が凝らしてあってこれはもうエンターテインメント!
マエストロは曲ごとに合わせたコスプレ?で登場され、「観光列車」では「運転士」←汽笛を鳴らすところはひもを引っ張るしぐさ、「狩り」ではハンターの扮装でライフル銃を撃ち、客席は大いに沸きました。なお、「シャンペン・ポルカ」で掲げておられたボトルは「獺祭スパークリング」だったそうです。さすがです(笑)
終曲「美しく青きドナウ」を聴きながら、「これは『ラデツキー』も聴きたいけれど、定期だからアンコールはないかな・・」と思っていましたが・・きっちり「ラデツキー」も演奏してくださいました! 皆で手拍子を打って楽しく終演。満足感に浸って会場を後にしました。

◇ソリスト・アンコール
N.マティス「ヴァイオリンのためのエアー集」より「パッサージオ・ロット」

◇座席
2階下手側バルコニー席最前列。1stヴァイオリンの3プルト目から後ろが蹴られて見えない。ハープ、チェレスタも見えず。でもソリストの楽譜がよく見える位置ではありました。見て何かわかるわけではないけれど、最終ページで曲がそろそろ終わり、というのだけはわかりました(笑)

◇その他
緊急事態宣言下ではありましたが、客席は見た目6割程度の入り。仕方がないことですが、アフター食事会もできず、帰る道すがらの飲食店も営業終了しており、華やかな演奏会だっただけに一層淋しい思いがしました。

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