2022年2月10日(木)尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団第555回定期演奏会 ブルックナー交響曲第5番

19時開演 フェスティバルホール

昨年同時期の9番に続き今年は5番。
楽しみにしていたブルックナーです。

ブルックナーには「ブルヲタ」と呼ばれる、もしくは自称している、この作曲家にとりわけ深い愛着、拘り、或いは同族感?を抱くファン層が存在しています。(「ワグネリアン」とはまた微妙にニュアンスが異なるのもツボ笑)

そのブルックナーの9つの交響曲の中でもブルヲタに特に人気なのがこの5番と8番らしいです(笑)。

「対位法を駆使した構築性と豪壮なフィナーレを持つ傑作」というようなことが解説に書いてあったりしますーーもちろんそれは私も大いに思うところで、人気の最大の理由なのでしょう。が、オタク受けの側面のひとつは、実は「キャッチーな旋律に乏しい」からではないかと推測しています。え?と思われるかもしれませんが、繰り返される主題が一度聴いただけで持って帰れるほどの再現性の高い強いメロディではなく・・いえ、覚えられないことはないのですが、なんというか「カンタービレ」ではないのですねー。で、いよいよ一般受けしないところが逆に「オレ(たち)だけがわかるブルックナー」的なオタク心を刺激するのではなかろうか、と。あくまで私見です(笑)

それはさておき、この日の大フィルの演奏は素晴らしかった。ヴァイオリンを始め弦楽器の束になった艶やかさと、それに割って入る(ように聴こえる)金管の迫力ある咆哮。やはり大フィルはブルックナーを得意とするオーケストラであり、なおかつフェスティバルホールの広いステージいっぱいに広がる大編成による見た目の豪華さと大音量。ブルックナーはやっぱりこうでないと!という満足感に大いに浸ることができました。

先述の「ややショボめ」と思う主題でも、何度も何度も繰り返されると不思議な感動を呼び起こされるもので、ここまで積み上げ、練り上げて大交響曲に仕上げたブルックナーの天才性を感じずにはいられません。

繰り返しによる「オスティナート効果」と大音量による訴求力。ブルックナー作品から得る特有の感動です。

同じパターンが繰り返し何度も出てくるのを聴きながら、最初のうちは幾何学的な機織りの布地のようなものを連想していたのですが、途中から、いや、この立体的な構築は、やはりよく言われるように石積みの教会建築だな、と思い始めました。同じものを倦まず弛まず愚直に積み上げ、やがて壮麗な大伽藍として完成させる。その豊かな大空間に鳴り響く壮大なオーケストラ。しかもティンパニーの連打による頂点で終わるのだからしびれます。

そして、この日はマエストロが完全に手を降ろすまで、真の静寂が続きました。観客が一体となって作りだす、この余韻により演奏は完遂するのです。が・・欲を言えば、もう5秒ほど長く持続して欲しかったなぁ。惜しい・・!

◇その他
座席はいつもの定期の席でしたが、今回左隣はちょっと雰囲気の違う30代と思しき男子3人組。もしやこれは「ブルヲタ」では?と、その会話に聞き耳を立てていました。と、開演前のアナウンス「ホワイエにおいでのお客様は・・」が流れた直後、「『ホワイエ』ってなんや?」。ガクッ。

演奏が始まって5分と経たないうちに眠りについておられました。タイクツしてプログラムやチラシをガサゴソするよりも寝ていてくれる方が百倍くらいいいんですけどね、でもイビキはかかないで欲しいですね・・。

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