2022年3月25日(金)飯守泰次郎指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団第326回定期演奏会 ブルックナー交響曲第00番、第0番

19時開演 ザ・シンフォニーホール

2011年から始まった飯守泰次郎マエストロと関フィルによる「ブルックナー交響曲全曲ツィクルス」の完結回で、当初2020年10月29日の予定が延期されての公演でした。

ブルックナーの習作交響曲「00番」と「0番」。ブルックナーの中でも滅多に演奏されない2作品での演奏会はブルオタ(初級)には聴き逃すことのできない演奏会でした。

「00番」はブルックナーが師のもと作曲法を修めた直後に書かれたものですが、作曲されたのは39歳のとき。ずいぶん遅い交響曲デビューです。

その後の交響曲と比べると、ブルックナーらしさはあまり現れていないのですが、その片鱗があちらこちらに散らばっているように聴こえます。のちの交響曲の要素を薄めたような印象。言い替えると、後の作品はここに出てくる要素を繰り返したり分厚くしたりして濃度を高めたものであるようにも感じました。

ちなみに本来この交響曲には番号はなく、CDや演奏会のタイトルとして「00番」が付されているようです。ツウは「ヌルヌル」(ゼロは独語でnull)と呼ぶとか?

1番と2番の間に作曲された、正確には(?)「1.5番」の「0番」、こちらはもうしっかりと「ブルックナー」。1楽章、弦が静かに弾き始める独特の音型に冒頭から引き込まれます。私の大好きなスケルツォも既にその形をしっかりと持っていて、嬉しくなってひとりニヤニヤとしてしまいました。しかし「ゲネラル・パウゼ」はまだ登場せず、スケルツォで全休止した、と思ったら楽章の終わりだったのでした(笑)。これは「00番」のスケルツォも同じ。着地点なく空中に放たれたまま終わってしまう独特な残響がまたたまりません。

この日は弦12-10-8-7-6で12型に低音部が補強してある編成。チェロが手前で、弦の低音が客席によく届く配置となっており、ブルックナーの分厚い弦の響きが堪能できました。

満足感の高い演奏会だったのですが・・

カーテンコールで再登場されたマエストロが、下手側で拍手に応えられている最中に体のバランスを崩され、危険を察知して駆け寄ったスタッフの方もろとも仰向けに転倒。客席からは悲鳴もあがり一時騒然。

助け起こされ、「大丈夫」という風に両手を合わせられたので、観客も安堵の拍手をおくったのですが、袖に用意された車いすで舞台を後にされました。オーケストラも返礼するやいなやコンマスを先頭に慌てて引きあげて行かれ、不穏な終演でした。

このツィクルスが完遂できたことはひとまずよかったのですが、大事に至っていないことをお祈りしています。

 

◇座席
2階GG列、上手側通路横。
音響も視界も良好。先々週の京都コンサートホールの聴こえなさはなんだったのだろうと改めて思いました。

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