2022年7月2日(土)アレクサンダー・ガジェヴ ピアノリサイタル

19時開演 ザ・シンフォニーホール

今年は「若手男子ピアニストを聴きまくる」ことに決めました(笑)。
ということで、この日は昨年のショパン国際コンクール第2位のガジェヴさん。
びわ湖ホール指揮者セミナーの中日、ダブルヘッダーで行ってきました。

先日来「ショパンらしい演奏とは」をよくボヤいていますが、ガジェヴさんはそんな私の大きな期待通り、「これぞショパン」な演奏を聴かせてくださいました。

英語によるガジェヴさん自身のスピーチ(後に翻訳あり)があり、その後ホールの照明をすべて落として2分間の瞑想タイム。やがて靴音が聞こえてガジェヴさんが登場するとピアノ上の照明が灯され「前奏曲」の演奏が始まる、といった演出で公演は始まりました。

まだ28歳ですが、すでに巨匠の風格。

ガルシアさんと同様、長身で長い腕、長い指で奏でる美しいショパン。ちなみに同じオール・ショパン・プログラムでも、ガルシアさんとは1曲も被らず、しかも主に短調の作品で構成されているのは、その風貌とも合致。やはり自分の個性が出せる選曲を行っているのですね。

ピアノはショパコン時と同じ、シゲルカワイ。
このピアノで聴けたのは収穫でした。クリアによく響く音で、澄み切った美しいショパンの世界が描かれていました。

このシゲルカワイは、高音と低音のキャラクターがまるで異なるファツィオリとは対照的に、どの音域でも均質な音色で、素直に音が出ている感じがします。スタインウェイのまるく横幅感のある音とも異なる。子どもの頃から聴き慣れた「日本のピアノ」の音がして、なんだか懐かしさも感じました。

後半、終曲のひとつ前は「舟唄」が予定されていたのですが、「演奏者の強い希望により」、ドビュッシーの「12の練習曲」より第11番「組み合わされたアルペッジョのために」に変更されました。これが素晴らしかった。ドビュッシー独特のゆらめく色彩感のあとに、ふわりとやわらかく「バラード第4番」が続いた時は、その期待感(この冒頭部分、大好きなのです)と、タッチ、音色の美しさに息を呑んでしまいました。

なぜ「舟唄」をやめてしまったのか理由が知りたいところですが、「作品を消化してイメージ頭いっぱいで出てきたのに、ステージでは違うことをしてしまう」(by高坂はる香さん)ガジェヴさんならではの変心なのでしょうか?日本に着いてからあまりの暑さで気が変わったとか?(笑)

ともかく、ショパン以外の作品を聴けて、しかも大好きなドビュッシーが聴けて、私は嬉しかった。他のフランスものも聴いてみたい、いやしかし、ベートーヴェンも似合うに違いない!などと、やはり次回を期待してしまうのでした。

◇アンコール
ショパン:「24の前奏曲」第4番 Op.24-4 ホ短調(先日の牛田さんと被り笑)
スクリャービン:「5つの前奏曲」Op.16より第1番 ロ長調

◇座席
2階GG列下手側。
もはやどのあたりの席を取ったか朦朧。いつもと大体同じブロックだけど、最後列だったのは取った時期が遅かったせい?かな? でも、よく見えました。
3階サイドの後列が残っているくらいでほぼ満席。女性率は9割くらい?トイレは長蛇の列でございました。

タイトルとURLをコピーしました