2023年5月30日(火)シューベルトー約束の地へ レクチャー&コンサート「幸福は、いまここに。」

19時開演 いずみホール

いずみホール主催公演シューベルト・シリーズのプレ企画としてのレクチャー・コンサート。

応募すれば招待ハガキが送られてくる無料の公演で、私はテノールの清水徹太郎さんが目当てで他に何の前知識もないままに出掛け、いずみホールのシューベルト・シリーズのプレ企画だということも行ってみて初めて知りました(すみません)。

このシューベルト・シリーズを企画されたいずみホール音楽アドバイザーの堀朋平さんとテノールの松原友さんによる解説と進行は親しみやすく分かりやすいもので、レクチャーもコンサートもこれを無料で聴かせていただくのは申し訳ないと感じる充実した内容でした。

プログラムの主体はシューベルトによる「ワン・パート・ソング」という、各パート1人ずつで歌う四重唱の作品。歌曲よりも先に人気が出たジャンルなのだそうです。「ワン・パート・ソング」というのも聞き始めでしたし、シューベルトがその作品をたくさん残しているということも初めて知りました。ビーダーマイヤーの時代、仲間内の集まりや酒場などで歌うための需要が高かったということでしょうか。

テノール2、バリトン1、バス1、という編成が多いようで(臨機応変に演奏していたようですが)、男声ばかりの4声は「密集和音」となりやすいため、トップテノールの音域がとても高く、それが歌える清水徹太郎さんをお呼びしたとのこと。

ピアノ伴奏のほかアカペラでの演奏もありましたが、やはりさすがでハーモニーが美しく、響きの良いいずみホールで、ひとときの贅沢な時間を過ごさせていただきました。
1部の最後「詩篇」、それから2部の終盤ミヒャエル・ハイドン「セレナーデ」がハーモニーが特に美しく、印象に残りました。(ミヒャエル・ハイドンは、有名なハイドンの弟。これも初めて知りました)

しかし忙しい声楽家の皆さん(特に清水徹太郎さん)、集まって練習する時間も多くは取れないでしょうし、どれくらいの練習時間でこのレベルの演奏に仕上げているのだろう?と余計なことも気になったり・・。

1部と2部それぞれの中ほどにおかれた越智晴子さんのピアノソロも素晴らしく、ソナタのひとつの楽章を弾くだけでピアノリサイタルの空間が出現。このホールのスタインウェイのまろやかな音色はシューベルトとの相性もよいと感じました。

シューベルトの作品にはまったく詳しくなく、作品番号(D:ドイチュ番号)の900番台が晩年の作品ということも今回知りました。番号を見るだけで作品背景が見えてくるようです。

プログラムの第1部は「至福の薄暮」、第2部は「幽玄なる闇へ」。そして今期シリーズのタイトルは「約束の地へ」——「約束の地」とは天国のことなのだと帰ってきてプログラムを見返して気づきました。この日のレクチャーコンサートのタイトル「幸福は、いまここに。」も刹那的な印象で、31年というシューベルトの短い生涯を思うと切なくなってしまいました。

 

◇アンコール
酒宴の歌
子守歌

◇座席
L列24番
窓口でハガキを提示すると選ぶ余地なしで座席指定券を渡されましたが、開場前に並んでいたので良い席でした。舞台との高さ関係もよく、ピアニストが見えやすいので、今週末チケ取り予定の阪田知樹さんソロの大フィルモーツァルトはこの列を狙います(笑)

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