2023年11月24日(金)ランチタイム・コンサート 佐藤晴真チェロ・リサイタル ピアノ佐藤卓史

11時30分開演 いずみホール

飛び石連休の中日に休みを取得し、お昼の演奏会に行ってきました。

今年はまだ聴けていなかった佐藤晴真さん。
9月にコンサート予習として視聴したリゲティの無伴奏チェロソナタの演奏が素晴らしく、やっぱり生音を聴きたい!と、平日昼間なので躊躇していたこの演奏会に行くことにしました。

通常より短めの演奏会でしたが、いずみホール音楽アドバイザー 堀朋平さんの解説やトークも交えた充実した内容でした。

ピアノは佐藤卓史さん。
ダブル・シュガー(笑)
堀さんのプレトークで「安定感のある」と紹介されていましたが、さらさらと軽いタッチで明快に奏でられるピアノ。ピアノはベーゼンドルファー。スタインウェイと比べると控えめな響き。温かみのある音色で、チェロとの相性も良いと感じました。

前半は、バッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタとシューマンの幻想小曲集。
シューマンの幻想小曲集は、クラリネットの曲として書かれたものをシューマン自身がチェロに編曲した作品とのことで(ヴァイオリンVerもあり)、晴真さんの歌心溢れる演奏が素晴らしい。これぞロマン派、の美しさでした。

休憩後、お二人に堀さんを交えたトーク。
晴真さんは低音ヴォイスの落ち着いた話ぶりで、卓史さんにも「年齢は離れているけれどそれを感じさせない」と言われていましたが、確かに演奏も含め、若手の領域からは脱したベテランの雰囲気があります。「歌心」にも話が及び、晴真さんは「鼻歌ばかり歌っている子どもだった」とのお話も。チェロの演奏も「歌」なのだと納得です。

ベルリンでの生活にも話が及び、ドイツはごはんが今一つ、ドイツ人は食に興味が薄い、ということから、近くに住む藤田真央さんとホームパーティで唐揚げや生姜焼きを作って食べたりもしている、という話も。真央さんの話に尺を取っているな、と思っていたら、これは3月のこのホールでのコンサート(Vaタメスティ)宣伝の伏線でした。

トーク後は、この日のメインとなるベートーヴェンのチェロソナタ第3番。
冒頭の低い音域での主題、トークでも話題となっていましたが、いきなり掴まれるキャッチーな旋律です。そして、この中音から低音で奏でられるチェロの響きが素晴らしい。ホール自体が楽器になったかのようで、そうそう、これが聴きたかったのだ!と至福の思い。

5曲あるベートーヴェンのチェロ・ソナタのうち 1、2番は初期のものでピアノが主体でチェロは通奏低音的な扱い、3番は対等、4、5番はチェロが主体となっているとの解説があり、このちょっとした知識も鑑賞の助けとなるものでした。

ランチタイム・コンサートは、通常もっと軽い内容のプログラムだけれど、今日は夜のコンサートみたいだ、と堀さんも仰っていましたが、ベートーヴェンの堂々とした座りの良さもあって、確かに夜のコンサートと変わらない印象。中身の濃い、素晴らしい演奏会でした。

 

◇アンコール
シューマン:「ミルテの花」より「献呈」
リストによるピアノ編曲版が有名ですが、このヴァージョンは初めて。あまりの美しさに涙腺崩壊。青年シューマンが歌っているかのようでした。歌心。

◇座席
後ろから2列目の上手通路側。
視界も響きもよく、今後この辺りもあり、です。

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