2021年10月3日(日)藤田真央 モーツァルトソナタ全曲演奏会第2回

14時開演 京都コンサートホール 小ホール

ピアニスト3日連続演奏会の最後は藤田真央さん!
今年3月にラフマニノフのコンチェルト3番を聴き、次はリサイタルを聴きたい、との思いが叶ったリサイタルでした。

モーツァルトのピアノソナタ全曲演奏会の第2回で今回はすべて短調の作品。
前回1回目は、気づいた時にはチケット完売で行けなかったのですが、すべて長調の作品でのプログラムでしかも全部「ハ長調」。真央さんのキャラクターからして、こちらを聴きたかったという思いもありましたが仕方なし。この演奏会に行けただけでも貴重な機会でありました。

初めて生で聴いた時の、ピアノの音色を超えて「美しい音」と感じた真央さんの奏でるモーツァルト。コロコロと真珠の粒が転がるような美音と、迫力ある低音。デモーニッシュな表現も素晴らしくて、モーツァルトの持つ二面性を感じることができたプログラムでした。

と・・
しかし、実はかなり反省しているのですが、このリサイタル、ぜんぜん予習をせずに行ってしまったのです。演奏会に行きすぎて予習の時間が取れなかったのですが(笑)、「モーツァルトだし、真央さんの演奏だし、そのまま聴いても感じるものは多いだろう」と、「丸腰」のままで行ってしまったのです。が、やっぱり予習していなかったせいで聴きどころを聴けずに終わってしまったな、というのが残念ながらこの演奏会の印象。実に勿体ないことをしてしまいました。

どんなに優れた演奏家のコンサートであっても、予習は必須!と肝に銘じたところです。

その上アンコールが終わったあと、マイクを持って現れた真央さんのトークが素晴らしく楽しくて、その印象ばかりが残ってしまうというこの不甲斐なさ!

だけど、忘れるのが惜しい楽しいお話しだったので、ここに残しておきます(笑)

まず、この日は大ホールで同時間に京響のコンサートがあったのですが、前日の金沢公演ではアンサンブル金沢が同ホール同時間であったとのこと。「皆さん、京響さんでなく、私を選んでくれてありがとうございます」。いえいえ、ここにいる皆さん、血眼で真央さんのチケット取ってますよ(笑)。なにしろ私は発売日の10時きっかりにチケットぴあで押さえたものの、パスワードエラーでつまづき、再設定して再度入ったら既に「予定枚数終了」。ひえー!その後ダメ元で主催に電話したら取れたのですが、ちょっと心臓に悪かったです。

真央さん、ご自分のことを「わたくし」と言われるのですね。それについ笑ってしまうのですが、お話しされるときもピアノから両手を離したままの状態で前腕は上がったままで手はぶらーん(巣穴から出てきたオコジョを連想してしまいます)、なんとも天然で愛すべき佇まい。同伴の夫が隣で何度も「可愛い!」とつぶやいておりました(笑)

トークは京都に因んだ話ふたつ。

ひとつは、幼いころ家族で京都に観光に来た際、大好きな抹茶アイス(これが「待合室」に聞こえていた人多数)を買ってもらったが落としてしまい、「失ったものは戻ってこない」と、このとき悟った、という話。いや、この落とした瞬間とその心境、ものすごくよくわかります!

そしてもうひとつは、前回4月5日の京都公演帰りの新幹線での話。いつも演奏会のときは朝から何も食べないそうですが(これ自体がすごい)、以前から憧れであった「新幹線で『プシュッ』」をやってみたくて空きっ腹に缶チューハイを飲んだところ、トイレ前で気を失ってしまいJRの乗務員5~6人が介抱してくれた。すごいなと思ったが、それは研修中の新入社員で、よく考えると自分と同い年だった、という話。「大丈夫ですか!?」と、気を失った王子を囲む新入社員ーー絵が浮かんできて笑ってしまいます。

その演奏だけでなく、パーソナリティも魅力。そのパーソナリティが個性となって演奏にも現れるわけですが、なんともあたたかく和やかな空気での終演となりました。

◇アンコール
モーツァルト ピアノソナタ第9番K.311第3楽章
モーツァルト ロンドヘ長調K.494

◇座席
2階(バルコニー)下手側。手元がよく見え、音響も良し。残りわずかで選ぶ余地なしの席でしたが良い席でした。

タイトルとURLをコピーしました