2023年11月15日(水)大萩康司ギターリサイタル

19時開演 兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール

我が人生で初、ギターリサイタルに行ってきました。

「題名のない音楽会」で、そのギターの音色に一瞬で魅了されてしまい、生で聴きたいと思っていた大萩さん。折りよくリサイタルの案内があり、早速にチケットを入手したのでした。

番組の内容ははっきりとは覚えていないのですが、それは曲の演奏ではなく楽器の紹介で、「こんな音がします」といった感じで爪弾いたギターの音色が感動的で、「ギターとはこんなに魅力的な音色が出る楽器だったのか」と目の覚める思いがしたのです。

私が現在追っかけている演奏家は、ほぼ全員「ひと耳惚れ」なのですが、たった一音が意味あるものとして響いてくる、これが芸術としての音楽の根幹だと思っています。

と前置きが長くなりましたが、この日のプログラムは「ギターで巡る南米の旅」。
南米出身の作曲家による作品で構成されていました。ギターは未知の分野なので、後から調べて知ったのですが、作曲家の出身国は、キューバ、ブラジル、メキシコ、パラグアイ、アルゼンチン、とそれぞれ異なっていたようです。ギターが盛んなのは、スペイン文化の影響なのでしょうか。

期待通りに大萩さんの奏でるギターの音は丸くあたたかい響き。ずっとこの音色を聴いていたい、と思いました。そして、ギターの特有の音量の小ささで、皆息をひそめて聴き入っており、客席の集中力も高い。この雰囲気はピアノリサイタルなどとはまた異なった独特のものでした。

残念だったのは、私にはギターの鑑賞経験も演奏経験も殆どなく、楽曲も知らなければ、技術力の高さも具体的にわからない、という状態であったこと。ちょっと勿体なかったかな、と思っています。唯一知っていたのは、ポンセ「エストレリータ」。メロディアスな作品で、他の楽器に編曲されたものを聴いた覚えがあります(何の楽器だったのか思い出せず)。聴きながら、これは「ハバネラ」なのだ、そうだ南米!と気が付きました。小さな発見(笑)

何年か前にベストセラーとなった「マチネの終わりに」というギタリストが主人公の小説がありますが、大萩さんも取材を受けるなど関わっておられたそうです。バリオス「大聖堂」の演奏シーンも出てくるそうで、ギターファンにはお馴染みらしく、この演奏が目当てだった観客の方もおられたのかもしれません。(実はこの小説、数年前に買ってみたのですが、この作家特有の衒学的な文章と人物造形の浅薄さに耐えられず中断したのでした)

ところで、ギターのリサイタルは、プログラムがきっちりとは決まっていないのですね。チラシとは曲順も楽曲も一部異なっており、そのあたりは緩い?感じなのでしょうか。いわゆるクラシックとは少し異なる「文化」なのかと思った次第です。

クラシック・ギターというジャンル、ほぼ予習なしでいきなり演奏会に行ってみて、知らないことだらけだと知りました(笑)。これから少しずつ開拓していこうと思っています。

 

◇アンコール
ガルデル:思い出の届く日(チラシに載せていたのに弾いてないので、ということでした)
坂本龍一(佐藤弘和 編):戦場のメリークリスマス

◇座席
G列のほぼ中央。このホールのお気に入りのエリア。

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