2024年11月9日(土)アンドリス・ネルソンス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ヴァイオリン五嶋みどり

15時開演 フェスティバルホール

昨晩そそくさとサントリーホールから帰ってきたのはこのためでした。
連日世界的指揮者でメジャーオケを聴く贅沢と、インターバルを置けない勿体なさと。

今年のウィーン・フィル来日公演は、ネルソンス氏の指揮、大阪公演ではソリストが五嶋みどりさん。どちらも初めてなので、曲目よりも出演者優先でチケット購入。連日という罪悪感もあって(自分のお金ですけど)3階席にしました。

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番とマーラーの交響曲第5番。通好みのプログラムです。

ネルソンス氏は「痩せた」と話題になっており——近年見るたびに膨張しているのが気になっていましたが——しかし、あまり健康的な痩せ方には見えず、歩き方もどことなく老人ぽく(今年46歳なのですが)、指揮台の傍らには丸い椅子が置かれていたのが気になりました。座ることはなかったのですが、精神的な支え? しかし、指揮はしっかりとされていました。

五嶋みどりさんの出で立ちは、若干キラキラはついているけれどそのままオフィスに行けそうなチュニックにパンツ。見た目より動きやすさ優先なのでしょうか(精一杯のおしゃれだったらすみません)。

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番。初めて聴く作品でしたが、みどりさんの演奏は外に向かって訴えかけるのではなく、繊細に丁寧に紡いでいく感じで、内省的な印象を持ちました。3階席はヴァイオリンを聴くにはちょっと遠かったのかもしれません。
それに、みどりさんを堪能するには少々尺が短すぎた。やや物足りない選曲であったような気がします。

マーラーがはじまる前、2つ向こうの男性が私の隣の男性に「ちょっと失礼しますが、さっきの演奏よかったですか?」と訊かれていて、隣の方は笑いながら「わかりません」と。「あんまり盛り上がらないというか、ヴァイオリン活躍してないですね」と訊かれた方が返していましたが、私も同意でした(会話に参加したかった笑)。

マーラーになるとステージいっぱいに演奏者が並んで壮観。
昨日の習いで人数を記しますと、合計で93名。弦は15-14-12-10-8(数え切れていないかもしれませんが、1stにボッチプルトあり)の対向配置。ホルンはチューバの上手側、その横に埋もれるようにハープ。ティンパニとパーカッション類は下手側となっていました。

コンサートマスターはシュトイデ氏。余談ですが、今回はディレクタースーツではなく、燕尾服でした。

ヴァイオリンの艶のある束感はやはりウィーン・フィル。ホールが異なるので単純に比較はできませんが、前日のミュンヘン・フィルとの違いを最も感じたのはこれでした。また素晴らしかったのはホルン。張りのある細く強い(トランペットかと思うような)美しい響きでした。

5番は4年前に尾高マエストロ/大フィルで聴いて以来でしたが、1・2楽章を聴きながら「あぁユダヤの音楽だ」と感じました。以前は西部劇のようだと思っていたのですが、本場のオケの演奏によるためでしょうか。ぎゅっと中身の詰まった「濃い」演奏でした。

でも、5番はなんといっても4楽章のアダージョ。震えの来るような美しさでしたが——しかし、ちょっと長い。濃すぎるせいなのか、途中で少々飽きてウトっとしてしまいました。前日のブルックナーはどこも長いとは感じなかったのに——これは好みの問題なのでしょう。マーラーにはどうも心を寄せ切れないものがあるのです。

ところで、アンコールは——シュトラウス一家のポルカかと思いきや、スッペの「軽騎兵序曲」。なんと!小学校振り(笑)。冒頭のファンファーレで吹き出し笑いが起きました。皆同じ思いだったのでしょう。マーラー5番に合わせて、ファンファーレ始まりの曲を選んだのかもしれませんが、これが日本の小学校の鑑賞曲だと知ってのことだったのでしょうか?

爆演、大迫力。これには感激してしまいました。本場のウィーン・フィルの演奏でこの曲を聴く日が来るとは。やっぱりウィーン・フィル、サービス精神旺盛です。

◇ソリスト・アンコール
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 1.プレリュード
◇オーケストラ・アンコール
スッペ:「軽騎兵」序曲

◇座席
3階2列目下手側
全体がよく見える良席でした。

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