14時開演 ザ・シンフォニーホール
以前大変感銘を受けたダン・タイ・ソン氏、4年振りの来日リサイタルに足を運びました。

4年前のリサイタルでは、冒頭のバッハからその滴る美音に感涙だったのですが、それは今回も同じ。今回は大変センスがよいプログラムで、冒頭にモンポウの小品を7曲、次にラヴェル「鏡」、後半にショパン作品を6曲、というもの。私の「ど真ん中」でもあります。
作曲家の出自が、モンポウ:スペイン(カタルーニャ)→ラヴェル:フランス/スペイン(バスク)→ショパン:フランス/ポーランド、と地図上東行の緩やかな関連性も感じられるもので、こういった考察も私の好きなことのひとつ。
モンポウは、ピアノ・リサイタルのアンコールで聴いた覚えがあるくらいで、今回初めて作曲家について調べ、予習でその作品を聴いたのですが(作曲家本人が演奏した全曲集があります)、これは新たな収穫でした。ボサ・ノヴァ的な穏やかさとクラシック特有の普遍的な美しさと。しっとりとした美音との調和。
そこで描き出される、草原を眺めているような拡がりを感じさせる音楽は充足感を覚えるもので、このような音楽を一日ゆったりと聴いて過ごせるような生活を送りたい、などという願望を呼びさませるものでもありました。
それに続くラヴェルの「鏡」。技巧が前面に出ない、柔らかく、霧に包まれたような音色。キラキラ感のある若手ピアニストの演奏(それも好きですが)とはひと味違う、「円熟」を感じさせるものでした。こういう演奏を聴くと、やはり実績を重ねた巨匠の演奏も聴くべきだと感じてしまいます。
後半のショパン。こちらも前半同様、円熟味のある演奏。「指が回る」という点においては、まだ20代の弟子たちの方が優れているかもしれませんが、それだけでないのが音楽なのですね。その存在感にも感銘を受けました。
終演時には、多くのブラヴォーとスタンディング・オヴェイション。
アンコールはショパンとドビュッシー。前述の続きで、地図上の旅はフランスで終結でした。
◇アンコール
ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調 遺作
ドビュッシー:「子供の領分」より「ゴリウォーグのケイクウォーク」
◇座席
2階最前列下手側。先日のチョ・ソンジンのひとつ左(笑)
◇その他
終演後は梅田のベトナム料理店でオフ会「ダン・タイ・ソン先生に敬意を表してベトナム料理を味わう会」に参加。SNSで緩く繋がっている方々ですが、クラシック音楽の話しかしないので、職業はおろか本名すら知らないという「知り合い」です(笑)


