2020年7月12日(日)METライブビューイング「さまよえるオランダ人」

11時開映 大阪ステーションシネマ

今シーズン最後の公演となってしまった「オランダ人」。
ワーグナー作品なので観に行っておこう!と、今回は大阪駅のステーションシネマに行ってきました。
ここの映画館前のスペースは、高層ビルの間の空中庭園。都会の喧騒から切り離され、近未来的な周辺のビル群と、きれいに手入れされた季節の植栽を眺めながらベンチで憩えるお気に入りのスポット。コンビニで買ったパンとコーヒーでひとりまったりとし、余裕でチケット買いに行ったら予想に反して空席には余裕がなく、かなり「かぶりつき」での鑑賞となってしまいました。

通しの上演で休憩はなし。
今日は覚悟して行ったので、長さはあまり感じなかった・・のは、実はかなり寝てしまったから。
オランダ人のモノローグのあたりで既にウトっときていたのです。ワーグナー作品でありがちな、「あ、寝てた!」と思って字幕見たら「あれ、まだ同じこと言ってる」→で、また寝る、というパターン。

少々雑ではありますが、寝てしまう程度に、鑑賞に熱の入らないプロダクションだったな、というのが感想です。
METですから、もちろん歌手は粒ぞろい。男性4人はどの声も素晴らしかった。
ゼンタが、なんだか少々出し惜しみしている感があったのですが、最後のばしっと決まった高音を聴いて、「あぁ、このためにとっておいたのだ」と納得でした。しかし残念ながらどう見ても乙女に見えない・・どころか角度によっては老婆のように見えたりもして、もっと「引き」で撮影してほしい、とご本人も思ったのではないでしょうか。

舞台後部のプロジェクションが見えにくかったのですが、幽霊船は登場しなかった?・・すみません、寝ていたので見ていなかったのかも知れません。

片目だけの大きな背景画になったオランダ人の肖像画、舞台上部から垂れ下がるロープの糸巻など、歌手に持たせると少々煩わしい?感じの道具類を、大きなセットに変えてしまっている手法は、スッキリしていて好感が持てました。

全体的に「よかった!」感の持てないプロダクションだったのですが、そもそもストーリー自体が入ってきにくいものだから仕方ない・・。前回の「ポーギーとベス」のベスとは対極的に、実は全く共感できないヒロインのひとりがゼンタなのです。「タンホイザー」のエリーザベトも同様ですが、まぁ、どちらも後味がよろしくない物語。もちろん、その側面だけではないのがオペラの面白さ、奥深さ。むしろ、音楽さえよければ筋書きはどうでもよい、多少の荒唐無稽さは当たり前、といった捉え方をしていた方がよいのかもしれません。

カーテンコール、ゲルギエフ氏の歌手と手をつなぐことを拒んでいた様子がちょっと面白かった。3月10日、そんな時期だったかしら? 随分前のことのような気もします。

 

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