2022年4月8日(金)尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団第557回定期演奏会 ピアノ藤田真央

19時開演 フェスティバルホール

今シーズン最初の定期演奏会のソリストはなんと藤田真央さん!
アンヌ・ケフェレック氏の代演でしたが、私にとっては僥倖。変更を知ったときは思わず「やったー!」とひとり声を上げてしまったのでした。

コンマス崔さんがチューニングでピアノのA音を鳴らしたところで「もうすぐ真央くんがあのピアノを弾くのだ」と既に嬉しくなり、ニコニコで開演を待ちました。やがて王子様は、はにかんだような笑顔と手の甲を下げた「お化けのお手々」と背中を丸めたトボトボ歩きで登場。いつも通りの真央くんでした(笑)。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。この日までに色々なピアニストの演奏で予習しました。
が、そのどれとも異なり、私の「脳内真央変換」をも軽く超えて、こんな音楽だったかしら?とすら思ってしまいました。特にカデンツァの演奏が素晴らしく(もしかしてこれはオリジナル?)、カデンツァの終わったあたりでは、オケを完全に自らの音楽に引き入れ、掌握してしまっているような感じすらしたのでした。コロコロ転がる美音は言うに及ばず、まるで即興でこの場で作りだして奏でているかような新鮮な音楽・・。幸せを噛みしめるひとときでした。

ピアノ演奏の場合は、ピアニストの手元、足元を見たいので、この日も2階の下手側にしましたが、この席で残念なのは表情がまったく見えないこと。表情が見えればどのような解釈で弾かれているのかもっと明確に知ることができると思うのですがそれが叶わず、きっと幸せそうな表情をされているのなのだろうな、と察しながら聴いていました。次回くらいからは手元は断念して上手側で見てもいいかなと思っています。

後半は、尾高マエストロが得意とされているエルガーの交響曲第2番。あまり演奏されることのない作品ですが、英国を想起させる格調高さと大編成オケの醍醐味が味わえる重厚な音楽で、交響曲の様式をきっちりと保持した作品です。音の分厚さ、煌びやかさが素晴らしく、同年代のR.シュトラウスが交響曲を作ったらこんな感じだったかな?とも。フェスティバルホールで大フィルのたっぷりとした音量に包まれる「音浴」の気分に久しぶりに浸ることができました。

その一方で、ずっと音量が大きいままなので、やや冗長な感じも。なんだか「ガトーショコラ」を思い浮べてしまいました。ずっと濃厚(笑)。英国らしさ(エルガーらしさ?)を感じる、スネアドラムやシンバルなどのパーカッションが要所要所に入るのが、まるでナッツ類のようなアクセントになっていて、食べ飽きるのを防いでくれているような気がしたのでした。最後のホルンが惜しかった!

◇ソリストアンコール
バッハ/ラフマニノフ編 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータよりガヴォット
(2日目のアンコールは、ブラームス 六つの小品よりロマンス だったそうです)

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