2020年9月19日(土) 佐渡裕指揮「アルプス交響曲」

兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール 14時開演

コロナ自粛後初のコンサート、6月20日のハイドンから始めた「3ヶ月でざっくり西洋音楽史を辿る」←勝手にシリーズ化、も今回で最終回となりました。

「クラシック音楽はいつ終わったか?」だったか、「ロマン派がいつ終わったか?」だったか忘れましたが、それに対する答えとして「リヒャルト・シュトラウスが死んだとき」と言い切ってあるのを何かの本で見たことがあります。一般的な捉え方として「オーケストラが重厚な響きで美しい旋律を奏でる音楽」が「クラシック音楽」もしくは「ロマン派」だとすると、R.シュトラウスがその最後の輝きであるのは誰もが認めるところでしょう。

とまぁそんなわけで、今回を「最終回」と位置づけた訳ですが(笑)、コロナ対策が進んでいく中、コロナ自粛以降最も編成の大きい「アルプス交響曲」を聴きに行くことができました。

開演前に佐渡さんのプレトークがあり(佐渡さんのお話はすごく能弁という訳ではないけれどとても理解しやすいです)、「PAC定期で当初から決まっていた曲目ではあったけれど、今回特別演奏会として採り上げることを決めた途端、皆の目が急に生き生きとしてきた」とのことでした。やはり演奏する方にとっても、モチベーションの上がる曲目なのですね。

舞台は、びわ湖ホールでのマーラー4番の時と同様に、後ろの反響板を6メートル下げ、前方はオーケストラピットを迫り上げ、前後に拡張。そして、この曲の大きな特徴である多様なパーカッション類(ティンパニー2セット、ウィンド・マシーンやサンダー・マシン等々)を並べるために、後ろのひな壇を高く高く積み上げてあり、「西宮にもうひとつのアルプス・スタンド出現」とのTwitがありましたが、正に言い得て妙! 見た目にも圧巻でした。

弦は18-16-12-10-8(プルトになっていました)、バンダも含めると120人の奏者で、これほどの規模はコロナ自粛後日本では初めてだろう、とのことでした。関西に居て「コロナ後初めて」をどんどん体験できていっています。N響の演奏会の様子などを見ると、東京は何かと慎重にならざると得ないのかなとも思われるので、クラオタとしてはあまり機会のない「関西にいるメリット」を感じているところです。

暗い響きの「夜」から始まり、やがて「日の出」の華々しい金管の大音量を聴いた時は、涙が出そうでした。普通に定期で聴いても感動したと思いますが、コロナ禍を経験した今聴くのは捉え方が全く違うな、と改めて思いました。

ただ、「頂上」を極めた後くらいに、管楽器がコケるアクシデントがいくつかあり、まぁまだ若いオケなので仕方ないかな・・と思ったのですが、残念ながらそのあたりからこちらの集中力も少々切れてきてしまいました。オケも集中力がなくなってきたのか、「とりあえず楽譜通りに演奏しています」といった態でメッセージが伝わってくる演奏にはなっていなかった。「エピローグ」で再度、あぁ美しい、と思えるひと山を築いてくれるかな、と期待したのですが、そこまでの盛り上がりがないままなんとなく終わってしまった感で少々残念。
後日、SNSを見ていると、翌日20日の演奏はとても素晴らしかったとのコメントもあり、この日はまだ本領発揮をできていなかったのかもしれません。

◇座席
芸文センターでは、サイドのR、L列が好みで、今回はLB列の後部にしました。が、ここは2階席が被っている所謂「雨宿り」で、斜め下の正面席の雑音が天井に反響してよく聞こえてしまう残念席ーーということを途中で思い出しました。プログラムをめくる音、マジックテープをびりびりと開ける音なぜ今なのか?(怒)・・これらが集中力が切れる原因のひとつだったようにも思います。

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