2022年9月16日(金)佐渡裕指揮/兵庫芸術文化センター管弦楽団第135回定期演奏会 ブルックナー交響曲第6番

15時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

ブルックナーの交響曲の中でも特に好きな6番が聴けるとあって、とても楽しみに出掛けた演奏会でした。

このオーケストラの今シーズン最初の公演は、ハイドンとブルックナーの交響曲。

ハイドン90番の交響曲には、4楽章にある奇想天外な「仕掛け」がしてある、とプログラム解説に書いてありましたが——私は直前に予習していたので引っ掛かりませんでしたが(自慢)、客席の大半は見事に引っ掛かり、笑いに包まれた曲の結びとなりました。

その「仕掛け」とは、いかにも曲が終わったと見せかけて、再び音楽が始まる、というもの。当然客席からは拍手が起こったのですが、それを遮って演奏が始まる。そして終わる。と見せかけて再び始まる。この2回目にはその仕掛けに対して拍手と笑いが起こり、舞台と客席の距離が一気に縮まりました。

このPACオケの演奏会では、いつも会場に「家族感」のようなものが感じられます。メンバーの大半が若手であるのと、客席の年齢層が高いのとで、まるで孫を観に来ている祖父母、といったようなあたたかさが漂っているのも、PAC定期の特徴でもあります。

後半は楽しみにしていたブルックナー6番。
この作品、冒頭からキャッチーで、ブルックナーらしさ満載。満艦飾の船隊が出航していくような豪壮でリズミカルな音楽には思わず体が動いてしまいます。大袈裟過ぎて少々滑稽でもあるのですが——ショスタコーヴィチなどの「諧謔」とは異なり、作曲家は至って大まじめ、の感もあり、微苦笑させられるところもまた好きなのです。

そして、大音量の猛々しい音楽から突如優美な旋律に変わる(その逆もあり)唐突さや、次の主題に入る前に置かれる「ゲネラル・パウゼ」(全休止)など、武骨で不器用な感じにもハマるのですが・・と、語るほどに褒めているのか貶しているのかわからなくなって笑えるのも、この作曲家ならではの魅力?です。

と、さて、この日の演奏ですが——ちょっとこちらの期待が大きかったのでしょうか。楽章が進んでいくにつれて、なんとなく心を掴まれるものに不足する、と感じてしまいました。
テンポも違和感なく、演奏瑕疵も特になかったのですが、音の密度?ダイナミックレンジの不足?原因はよくわからないけれど、訴えかけてくるものが薄い感じがしたのです。この日は定期初日で、しかもシーズン初回。オケのメンバーもかなり入れ替わったとのことだったので、不慣れ、ということも影響していたのかも知れません。決して悪い演奏ではなかったのですが。

一昨年、飯守泰次郎マエストロ指揮の大フィル定期で聴いたときに非常に感動したのは、やはりブルックナーを多く演奏してきた指揮者とオケによるものだったからなのか、と改めて思い返しました。ブルックナーには老練の指揮者と老舗オーケストラが似合うのかも知れません。

さて、ところで、定期演奏会でもオーケストラ・アンコールがあるのもこのPACオケならでは、なのですが——ブルックナーの終演後、スネアドラムとハイハットが運ばれてきたので、何が始まるのかと思いきや(悪い予感)——軽妙なスウィングのリズムで「すみれの花咲く頃」。

・・蛇足

私がブルオタだったら怒る!

しかしブルオタを名乗れるほど究めてはおらず、かつ「歌いたがり」のワタクシは嬉しくなり、最初はハミングで、2番からはマエストロがピアニカを演奏し始めたのでこれはもうOK!とばかり、少々大きめの声で歌わせていただきました。楽しかった!

 

◇座席
3階下手側中央寄りの通路側、2列目。
例によって、転落防止柵がコントラバスに被って目障り。この列は私が座る以外空席だったので、3席ほど下手側に移動させてもらいました。


↑こんな感じです・・

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