2020年9月28日(月)びわ湖ホール 気軽にクラシック 上村文乃 新しきチェロの煌めき

14時 びわ湖ホール大ホール

9月3日の芸文センターでのワンコイン・コンサートと同じ趣向のコンサート。
素晴らしく天気の良い日で、湖畔の景色とともにチェロを楽しんできました。


「気軽にクラシック」というタイトル。
ついつい「つまりクラシックは気軽じゃないってことですね・・」とツッコミを入れたくなります(笑)この話だけで記事がいくつも書けそうですが、それはさておき。

行った目的は、はい、沼尻さんのピアノが聴きたかったからです。
平日の昼間ですが、市松座席配置の大ホールの1,2階はほぼ埋まっていたので、常連さんかはたまた私と同好の士?もおられたのでしょうか。マエストロが大ホールでピアノを弾くのは、堤剛さんと「白鳥」をやったときだけ、とのことでしたので、私はそのどちらも聴けたわけですね。3年前のジルヴェスターでのソリスト・アンコールです。ちなみに上村さんは堤さんのお弟子さんとのこと。

上村文乃さん、背が高く目鼻立ちが整っていて、真っ赤なドレスがよく似合う、チェリストというよりプリマドンナという雰囲気。チェロの弾き方も情熱的でオーラがありました。

プログラムの中で印象的だったのは、黛敏郎の「文楽」。三味線や義太夫をチェロであらわしていてーーバチで弾くような奏法や、人の声に似せた音色、節回しなど、チェロ1本で文楽全体を表現していて、「日本の伝統芸能との融合によりチェロの新しい可能性を拡げた作品」とでもいうのでしょうか。この選曲は沼尻さんによるものとのことで、若い演奏家に日本人作曲家の作品を継承し、広めていってほしいとの意図があったのでしょう。上村さんは「もう、ものすごく大変だった」と笑いながら仰ってましたが、そんな本音が聞けるのもこのようなコンサートならではの楽しみですね。

沼尻さんは伴奏に徹する感じでピアノを弾かれていて、若手奏者をフィーチャーするためにあまり自分が出すぎないようにされていたのかしら?という印象でした。それにしても、冒頭の「白鳥」は、湖面のさざ波や水面のきらめきの表現がとても優しく美しく、なるほどびわ湖での1曲目は掴みも含めてこの作品になるのだな、と納得でした。

上村さんがMCでしきりと沼尻さんを「先生、先生」と呼ぶのがなんだか可愛くて、でも、自分の通っていた大学の教授だったら直接指導されていなくても普通「先生」と呼ぶよね、と、マエストロの別の一面も見たような気がしました。

しかし、今月2つの弦楽リサイタルを聴いた後、このリサイタルを聴くと、やはり奏者同士が互角である方が聴きごたえがあるな、と思いました。若手実力者同士の技のぶつけ合い。曲目にもよりますが、どちらかが「引く」と、当たり前ですが今一つ盛り上がりに欠けてしまうものなのだな、と。
「気軽に」だから、そんな小難しいことを考えながら聴く必要はないのでしょうが(笑)

◇アンコール 倉田高「日本人形の踊り」

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