2021年11月23日(火・祝)尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団第553回定期演奏会 チェロ横坂源

15時開演 フェスティバルホール

珍しく祝日、勤労感謝の日に開催の定期でした。
なのでいつもの仕事帰りではなく、自宅からフェスティバルホールへ。

当初プログラムは、前半に武満徹「ウォーター・ドリーミング」およびイベールのフルート協奏曲でしたが、ソリストのベルリンフィル首席フルート奏者、エマニュエル・パユ氏の来日が叶わず、その2曲は取りやめで、代わりにハイドンのチェロ協奏曲2番が演奏されました。

アウアー(ウィーンフィル・フルート首席奏者)に続き、パユもダメでしたか・・と吐息落胆だったのですが、しかし、ハイドンのチェロ協奏曲が素晴らしくて満足感の高い演奏会でした。

今年はチェリストをよく聴く年でもあります。
先日の佐藤晴真さんに続き(晴真さんは今週末にまた聴きます笑)、この日は横坂源さん。
現在日本は若手チェリストも層が厚く、横坂さんもいつか聴いてみたいと思っていたひとり。思いがけずその機会が巡ってきました。

まず弦8型の大フィルから立ち上がってくる音色が美しい。非常によく整ったアンサンブルで、室内楽を聴いているような気がしました。大きなフェスティバルホールで聴く「小フィル」。ホールの響きも美しいと改めて感じました。

横坂さんのチェロは情熱的ではあるけれどソリスト的ではなく、隣のヴァイオリンと緊密にコンタクトを取っているのが印象的でした。艶やかな高音が特に美しい。そしてやはり唸りながら弾くのですね。オケの編成が小さいせいかよく聞こえてきました。こういう弾き方を知るとますますチェロという楽器に魅せられていきます。横坂さんもまた聴きたいチェリストになってしまいました。

後半はマーラー4番。
昨年びわ湖ホールで聴きましたが、同じ曲を2回目に聴いたとは思えないほど異なる印象を持ちました。その大きな要因は座席の位置——昨年のブログを見ると、座席が前過ぎた、と書いていましたが、やはりそうで、今回は2階最前列で聴いたため、見た目にも音楽的にも俯瞰して鑑賞できました。

それに今回は音がとても美しかった。前半のハイドンでの引き締まった美しさが倍の弦16型でも保たれており、まさしく天上の美でありました。しかし、美しさと同時にグロテスクさやシニカルさも含まれているこのマーラーの音楽は油断して聴けない、美しさに浸らせてはくれない音楽です。一筋縄ではいかない様子の天上の世界をオーケストラ全体を眺めながら堪能し、なんだか久しぶりにどっぷりと音楽に浸ったような気がしました。

4楽章の独唱は、当初メゾ・ソプラノのアンナ・ルチア・リヒター氏でしたが、代演でコロラトゥーラ・ソプラノで有名な安井陽子さん。昨年のびわ湖ではメゾの福原寿美枝さんだったので、日本声楽界の最も高い声質と最も低い声質それぞれで聴いたことになったのですが・・正直な感想は「どっちもどっち」。福原さんは高音が上がりきっていなかったのに対し、安井さんは低音が苦しそうに聴こえました。天使の歌なので声質としてはソプラノだけれど、低い箇所の音域はメゾとのこと。うーん、難しいですね。だったら?と帰り道にいろいろ考えたのですが、「カウンターテノール」どうでしょう?「この世のものでない」感や「グロテスクな天使」感は出せるように思うのですが・・全く勝手な妄想です(笑)

◇その他
カーテンコール時、尾高マエストロが拍手を制止し、「3楽章で歌手が登場しても拍手が起こらなかった。今日のお客さんは素晴らしい!」と褒めてくださいました。
が・・その正に3楽章が始まった静寂の中、2階席で「アメの包みクシャクシャ音」が長く持続しておりました。音をさせずそーっと開けようとする努力は認めますが、アメを手にした時点でアウトですから!これ全く同じことが先日のアンデルシェフスキの際も真後ろで起こり、またか!と怒り心頭でありました(ここで鬱憤晴らします)

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