2021年3月14日(日)佐渡裕/反田恭平with ジャパン・ナショナル・オーケストラ

14時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

満員の客席、万雷の拍手、スタンディング・オベイション。
今の状況下でこのようなコンサートがあり得るのだと、感動でした。

プログラムからして感動すること間違いなし、のコンサートではあったのですが、本当に期待通りの素晴らしく充実した演奏会でした。

ダブル・コンチェルト、しかもどちらも重量級で、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」とプロコフィエフのピアノコンチェルト3番。普通はあり得ないプログラムだと思いますが佐渡さん曰く「僕も反田くんもどこか気が狂っているのです」。どれだけ楽しませてくれるのでしょう。とにかく聴衆を楽しませる、そして聴衆を取り込んでいく、という姿勢がこのお二人には共通していて、目指す方向性が同じなのであろう、そんなことを感じた演奏会でもありました。

コンチェルトの前に演奏されたハイドンの交響曲第44番「悲しみ」
この演奏がハッとするくらいに美しくて胸を突かれる思いがしました。
今回のオーケストラは「ジャパン・ナショナル・オーケストラ」。当初予定のトーンキュンストラー管弦楽団が来日できないことにより、反田さんが結成した「MLMナショナル管弦楽団」を核に今回新たにメンバーを集め結成したオーケストラとのこと。佐渡さんがプレトークで「スーパー・オーケストラです」と仰っていましたが、双眼鏡で観察していたところ、まずチェロに上村文乃さんを発見。休憩時間にプログラムを見ると、ヴァイオリンに小林美樹さん、ヴィオラの安保恵麻さん、題名のない音楽会でおなじみのヴァイオリン林周雅さん、トロンボーンの藤原功次郎さんなど知ったお名前がいくつも並んでいて、なるほど、と思った次第です。サイトウ・キネンの若手奏者版といったところでしょうか。これだけの奏者を集めて来られるのもこのお二人ならでは、ですね。

「パガニーニ」は、もうこれは楽曲そのものが美しい旋律にあふれていて、ただでさえ感動的なのですが・・やはり反田さんの超絶技巧が素晴らしい。この前半が終わった時点で既にコンサートをひとつ聴き終えたくらいの充実感だったのですが、さらにプロコ3番が聴けるという喜び。
プロコ3番は、これはもう超絶技巧のかたまりのような作品で、どのような能力を持って生まれ、どのように練習すれば弾けるようになるのか?計り知れない世界です。とにかく大迫力の演奏でした。

以前「らららクラシック」でこの作品を取り上げた際に反田さんが出演されていて、終盤に1本の指で鍵盤を2つずつ押さえながら高速で弾く箇所があり非常に弾きにくいので自分は現在グリッサンドのように弾くことにしている、と説明したところ、司会の高橋克典さんから「それ作曲家に負けてませんか?」と鋭いツッコミ。その部分を今日注目していたのですが、なんと「楽譜通り」に弾かれてました!克典さんのひと言に奮起されたのでしょうか(笑)

終演後の拍手は凄まじく、スタンディング・オベイション。

ソリスト・アンコール、オーケストラのみのアンコールの後、なんと「パガニーニ」の第18変奏をもう一度演奏、という千秋楽ならではの大盤振る舞いでした。
その後、オケ奏者からのサプライズで、譜面の後ろに仕込んでいたひと文字ずつのプラカードで「みんなありがとう」「BRAVISSIMO」などの文字が掲げられ、これには反田さんも涙しておられました。

◇アンコール
シューマン=リスト「献呈」
チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」より「エレジー」
ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」より第18変奏

◇座席
3階3列目下手側。視界おおむね良好も前列観客の頭が若干被る

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